2025年F1シーズン第8戦となるモナコグランプリが、伝統のモンテカルロ市街地コースで開催される。F1の中でも最も特別な舞台のひとつであり、予選順位と戦略が結果を大きく左右するこの週末は、毎年ドライバーとファンにとって特別な意味を持つ。F1は1週間前にイモラで戦いを終え、舞台を華やかなモナコへ移した。歴史と格式に彩られたこの狭くトリッキーなコースで、2025年型マシンがどのように競い合うのか注目が集まる。
そして本日5月25日(日)、いよいよ決勝が行われる。今回は新たに導入された2回の義務ピットストップ制によって、これまでとは異なる展開が予想されており、予選で出遅れたドライバーにも挽回の可能性が開かれている。重要な統計データ■ 初開催 – 1950年■ サーキット全長 – 3.337km■ ラップレコード – 1分12秒909(ルイス・ハミルトン、メルセデス、2021年)■ 最多ポールポジション – アイルトン・セナ(5回)■ 最多優勝 – アイルトン・セナ(6勝)■ トリビア – モナコは1950年のF1世界選手権初年度に開催された7つの会場のうちのひとつ■ ポールポジションからターン1のブレーキングポイントまでの距離 – 142メートル■ 2024年に記録されたオーバーテイク数 – 17回■ セーフティカー導入確率 – 43%■ バーチャル・セーフティカー導入確率 – 29%■ ピットストップによるタイムロス – 19.4秒(2.5秒の静止時間を含む)ドライバーの見解ジョリオン・パーマー(元ルノーF1ドライバー):「モナコは美しいサーキットで、まさにドライバーズ・トラックだ。F1カーで走ると狂気じみて感じるほどで、他の市街地コースと比べてもとにかく狭く、路面には傾斜があり、タイトでツイスティー。至る所にチャレンジがある」「ターン1のサント・デボーテを抜けるのも一筋縄ではいかない。出口は非常に急な上り坂になっていて、マセネやカジノへ向かう際には空しか見えない。マセネではイン側のラインをしっかりトレースしないと、外側のバリアに弾かれてしまう」「ヘアピンは少しだけシンプルだけど、通過に時間がかかるし、バンプが多いから跳ねながら通過する感じになる。トンネルを抜けてシケインのブレーキングポイントを探るときには、左側のアームコに可能な限り寄せなければならない。欲張って接触し、パンクしたりマシンを壊したりする場面をよく見る。とくにプラクティスの序盤では、シケインを真っ直ぐ突っ切るドライバーが多い。ブレーキングポイントを見極めるために、少しばかりの余裕がある場所だからこそ、みんな限界を試す」過去5年間のモナコGPポールシッター■ 2024年 – シャルル・ルクレール(フェラーリ)■ 2023年 – マックス・フェルスタッペン(レッドブル)■ 2022年 – シャルル・ルクレール(フェラーリ)■ 2021年 – シャルル・ルクレール(フェラーリ)■ 2019年 – ルイス・ハミルトン(メルセデス)過去5年間のモナコGP優勝者■ 2024年 – シャルル・ルクレール(フェラーリ)■ 2023年 – マックス・フェルスタッペン(レッドブル)■ 2022年 – セルジオ・ペレス(レッドブル)■ 2021年 – マックス・フェルスタッペン(レッドブル)■ 2019年 – ルイス・ハミルトン(メルセデス)地元出身のルクレールは、昨年モナコでポール・トゥ・ウィンを果たし、感動的な勝利を挙げた。タイヤと戦略に関する洞察「2戦連続で、ピレリは2025年のラインアップの中でもっともソフトな3種を選択しています」とタイヤサプライヤーのイベントプレビューは伝えている。「イモラ同様、C4がハード、C5がミディアム、C6がソフトで、決勝ではC4とC5の使用が義務付けられています」「今週末は、このイベントに限ってレギュレーションが重要な変更を迎えます。レース中に2回のピットストップが義務化されるのです。このルール変更の狙いは、昨年のように非常に単調になりがちなモナコGPに、より多くの興奮を加えることにあります」「このルール変更に合わせて、すべてのドライバーには通常の2セットに加え、フルウェットタイヤがもう1セット追加で供給されます。これにより、極端なウェットコンディションでも2ストップ義務が適用可能になります」「この変更がチームの戦略にどう影響するかは注目ポイントです。例えば、明確なピットウィンドウが存在しないため、後方からスタートするドライバーがクリーンエアを活かして順位を上げるチャンスが生まれる可能性もあります」「2ストップ制が導入されることで、タイヤデグラデーション(劣化)への懸念も実質的に解消されるでしょう。モナコではもともとタイヤの摩耗は少ないため、終盤のセーフティカーなどを契機にソフトタイヤを投入して順位を狙う展開も考えられます」現在の勢力図オスカー・ピアストリは、エミリア・ロマーニャGPで表彰台を獲得してチャンピオンシップのリードを維持したが、優勝したマックス・フェルスタッペンと2位のランド・ノリスも迫っており、モナコでは首位が入れ替わる可能性もある。実際、オーストラリア人のピアストリが146ポイントで首位を走る中、チームメイトのノリスは133ポイント、4度の世界王者であるフェルスタッペンは124ポイントと僅差で追いかけており、誰がモナコを首位で終えるかは予測不能だ。一方、コンストラクターズランキングではマクラーレンが圧倒的な状況にある。ここまで7戦中5勝を挙げ、残りのレースでもすべてダブル表彰台を達成しており、279ポイントを獲得。2位のメルセデス(147ポイント)に大差をつけている。象徴的な瞬間1950年のF1初年度から開催されているモナコGPには、数え切れないほどの名場面が存在する。その中でも際立つのが、1992年のアイルトン・セナによるナイジェル・マンセルに対する防御だ。レース中、マンセルはパンクの疑いからピットインを強いられ、セナがトップに立った。その後、マンセルは新品タイヤで猛烈に追い上げるも、セナは限界ギリギリのライン取りで首位を守り抜いた。
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