ピレリは、F1モナコGPでソフトタイヤのみの使用とする案を検討する用意はあるが、それによってレースがエキレイティングになるかどうかは疑問だとしている。先週末のモナコGPでは、上位10人のドライバーがすべてスタート時の順位と同じ結果に終わり、アクションやオーバーテイクが見られなかったため、レースを盛り上げるためのルール変更を求める声が上がった。
おそらく最も現実的なアイデアは、メルセデスのジョージ・ラッセルが提案した、モナコでは通常の3種類のコンパウンドではなくソフトタイヤのみを用意することで、レースにスリルが生まれるというものだろう。ピレリのモータースポーツおよびF1部門責任者マリオ・イゾラは、このようなソフトタイヤのみのレースがどのような結果をもたらすかについて、チームからシミュレーションデータを提供してもらえれば嬉しいが、タイヤの節約をさらに迫られることになるため、状況が劇的に変わるとは確信していないと語った。「私はその提案を聞いたし、実際にジョージと話した。彼はその提案について話してくれた。チームにシミュレーションを依頼して、何が起こるかを見ることはできると思う」「しかし、2018年にソフトタイヤを履いていたときは、私の記憶が正しければ、タイヤのポテンシャルよりも8秒も遅いタイムで走っていた。F2のペースだった」マリオ・イゾラは、モナコでより柔らかいタイヤを使用しても、必ずしも追加のピットストップが必要になるわけではなく、むしろタイヤの寿命を延ばすためにドライバーがさらにペースを落とすことになるだろうと語った。「モナコの問題はオーバーテイクができないことだ。だから1周ごとに2、3、4秒ずつ減速しても誰にも追い越されない」とイゾラは指摘した。「私の意見では、重要なのはタイヤだけでなく、チームがなぜストップするかしないかを決めるのかを考慮しなければならないということだ」「タイヤの劣化、オーバーテイクのしやすさ、そしてピットストップに費やす時間の組み合わせだ。ピットストップに28秒かかるなら、それを避けるように努めるからだ。イゾラは、ピットストップの最低回数を義務付けるという提案も、チームが同じ戦略に固執する可能性が高いため、何の付加価値ももたらさないだろうと述べた。「何年も前に、(2回のピットストップを義務付けるという)この提案があったとき、我々は議論を行い、各チームは戦略担当エンジニアにシミュレーションを依頼したのを覚えている」とイゾラは説明した。「結果は、どのチームもほぼ同じ戦略で戻ってきた。つまり、制約を加えることは、異なる戦略やレースへの異なるアプローチをチームに強いるのではなく、ただ同じ戦略に収束させるだけだ。しかし、それは我々が望むことではない」「我々が望んでいるのは、1ストップと2ストップを組み合わせ、異なるコンパウンドを使用することだ」「問題を解決するには、皆で集まって、すべての提案を検討し、シミュレーションを行い、どのアプローチが最も良いかを理解する必要がある」モナコにとっての最善の解決策は何かと尋ねられたイゾラ「サーキットを拡張することだ。しかし、モナコの建物を壊すわけにはいかない」と答えた。「予測できないことや奇妙なことがない限り、基本的にすべてが土曜日の予選で決まるユニークなレースだ」「しかし、残りのストリートサーキットでは、もっとソフトに進めば、アプローチを少し変えて、1ストップ戦略のところを2ストップ戦略に切り替えることができるかもしれない」「マイアミやラスベガスといった新しいストリートサーキットについては考えている。それは可能です。しかし、モナコに関しては、正直言って、私たちにできることはほとんどないと思います。」イゾラは、ピレリは今週のポール・リカールでのテストを経て、オーバーヒートの軽減を目的とした来年の新型スリックタイヤの製造をほぼ承認したと付け加えた。さらに、ストリートサーキットに特化した、より柔らかいコンパウンドも選択肢に追加される。「カレンダーではストリートサーキットがますます増えており、より柔らかいコンパウンドが必要なので、より柔らかい新しいC6コンパウンドを導入することも考えられている」とイゾラは明かした。「我々はレイジを少しソフト側に動かし、常にオーバーヒートを減らすよう努めるつもりだ」