2025年F1第6戦マイアミGPは、マクラーレンがスプリントと決勝の両レースで1-2フィニッシュを達成するという歴史的快挙を成し遂げた。ピアストリが3連勝を飾り、ノリスも追い上げて2位に入るなど、同チームの勢いが際立つ週末となった。一方、王者レッドブルはフェルスタッペンが4位、角田裕毅が10位にとどまり、今季最強のパッケージと目されるマクラーレンとの差が浮き彫りとなった。
メルセデスのラッセルはVSCを活かした戦略で表彰台を獲得。ウィリアムズのアルボンは今季ベストの5位に入り、サインツもポイント圏内を守った。フェラーリやハース、アルピーヌは中団でもがき、アストンマーティンに至っては2台とも下位に沈むなど、チームごとの明暗が大きく分かれる結果となった。以下では、各チームの戦況と代表者たちのコメントを網羅的に振り返る。■ McLaren(マクラーレン)戦況:ピアストリが予選・スプリント・決勝すべてで非の打ち所がないパフォーマンスを見せて3連勝を達成。ノリスはスタートで順位を落としたものの、持ち前のペースと冷静なオーバーテイクで挽回し2位を獲得した。スプリントと決勝でともに1-2フィニッシュを果たしたことで、マクラーレンはスプリント週末に両レースで1-2を達成した史上初のチームとなった。マシン、戦略、ドライバーのすべてがかみ合い、まさに完璧な週末だった。アンドレア・ステラ(チーム代表)「今日はマクラーレンにとって並外れた結果となり、素晴らしい週末の締めくくりとなった。昨日のスプリントでの1-2フィニッシュに続き、今日のマイアミGPでも1-2を達成したことで、スプリント週末において両レースで1-2を飾った史上初のチームとなった。大量のポイントを獲得できたことも大きく、また明日は我々がこの新たな時代で初優勝を飾った記念日であり、チームの方向性と発展において重要な節目となった日だ。今シーズン何度目かになるが、設計、製造、組立、そしてこの素晴らしいマシンで戦ってくれている人々に改めて感謝したい。また、我々の技術パートナー、商業パートナー、そしてこのエキサイティングな旅路をともにするファンの皆さんにも心から感謝している。予選では非常に僅差の争いとなったが、レースではマシンが非常に良く機能し、オスカーとランドが支配的な走りを見せてくれた。オスカーは冷静かつ正確に、チャンスを的確に掴んで素晴らしいペースを発揮した。ランドはスタート直後の混乱で遅れたが、その後は見事な追い上げを見せ、終盤にはマックスをオーバーテイクした。もしスタートで遅れがなければ、勝利争いに加わっていた可能性もあった。これは今後のシーズンに向けて素晴らしい土台になるが、同時に今回のレースが特別な条件だった可能性もあることを自覚している。我々は浮かれることなく地に足をつけて、MCL39をさらに進化させるべく努力を続けていく。そして、ヨーロッパラウンドへと舞台を移すこれからの戦いに臨んでいきたい。」■ Mercedes(メルセデス)戦況:ラッセルはハードスタートとVSCを最大限に活かした戦略で3位表彰台を獲得。マシンの仕上がりに苦しむ場面もあったが、要所を締める走りで今季4度目の表彰台に上がった。一方のアントネッリは好スタートから2位を走るも、ピットタイミングに恵まれず最終的には6位。それでもルーキーとしては高い水準を維持しており、今後の伸びしろに期待が持てるパフォーマンスだった。トト・ヴォルフ(モータースポーツ統括責任者)「今日はジョージが素晴らしいレースをしてくれて、3位という結果を手にした。今週末はこれまで以上に苦戦し、マシンのフィーリングも過去のレースほど良くなかったが、それでも肝心なところで力を発揮し、マシンの持てる性能を最大限に引き出してくれた。とはいえ、マクラーレンとの差が大きかったことは事実であり、それは非常に残念だ。我々はこの差を埋めるべく、アップデートに取り組んでいる。今季最初の6戦では、週末によって勢力図が変動する傾向も見られるが、現時点ではマクラーレンが倒すべきチームとなっている。キミに関しては、その才能を改めて証明した週末だったが、今日のレースでは多くの学びを得ることになった。これは18歳のルーキードライバーとしてはごく自然なことであり、レースマネジメントも今後の経験の積み重ねとともに向上していくだろう。次のイモラはキミにとって初めての母国GPとなるので、きっと彼にとっても特別な週末になるはずだ。」アンドリュー・ショブリン(トラックサイド・エンジニアリング・ディレクター)「ジョージが今季4度目の表彰台を獲得できたことを嬉しく思う。我々はハードタイヤでスタートする戦略を選び、レース中にバーチャル・セーフティカー(VSC)が出れば有利になると見込んでいたが、その通りになり、マックスの前に出ることができた。また、レース前は雨が降る可能性が50%程度と予測していたが、最終的に雨雲はコースのすぐ近くを通過しただけだった。一方で、キミはVSCの直前にピットインせざるを得ず、ウィリアムズのアンダーカットを防ぐための対応だったが、その判断によりVSCの恩恵を受けられなかった。さらにピットレーンの混雑でタイムを失い、最終的にはハードタイヤでのペース不足が響いて6位にとどまった。それでも、キミにとっては成長の機会が多く得られた週末だった。マクラーレンは再び圧倒的なパフォーマンスを見せており、我々もこの差を縮めるべく取り組み続けている。ポイントでレッドブルとフェラーリを上回ることができたのはポジティブだが、毎週のように優勝争いを繰り広げるにはまだ改善が必要だ。特に決勝のロングランペースを強化する必要があり、イモラでの改善に向けて全力を尽くす。」■ Red Bull(レッドブル)戦況:フェルスタッペンは序盤首位を守ったが、ピアストリとノリスの猛追を受けて後退。VSCのタイミングにも見放され、最終的には4位にとどまった。マシンのバランスとロングランペースに苦しみ、全体として支配力を欠いた週末となった。角田裕毅はピットスピード違反で5秒加算のペナルティを受けながらも、粘り強い走りで10位に滑り込んだのは評価に値する。クリスチャン・ホーナー(チーム代表)「今日、我々は全力を尽くしたが、マクラーレンにはまったく歯が立たなかった。彼らは別のカテゴリーにいるかのようだった。だから、4位とダブル入賞というのは、この混沌としたマイアミGPにおいて、我々が得られる最善の結果だったと思う。マックスは序盤にポジションを守るために必死のディフ...
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