FIA(国際自動車連盟)は、2025年F1メキシコシティGPで発生した2つの物議を醸した場面について公式声明を発表した。ひとつは序盤にリアム・ローソン(レーシングブルズ)がマーシャルと接触寸前となった危険なシーン、もうひとつは終盤に導入されたバーチャルセーフティカー(VSC)に関する判断だ。
ローソン、マーシャルと接触寸前の危険な場面レース序盤、ローソンはターン1のコーナーでデブリ回収作業を行っていた2名のマーシャルと遭遇。間一髪で衝突を避ける形となり、深刻な事故を回避した。ローソンはチームラジオで「おい…マジかよ?今の見たか?」と叫び、その後も「危うく彼らを殺すところだった」と強い口調で訴えた。この件についてFIAは声明を発表し、以下のように説明した。「ターン1でのインシデント後、レースコントロールはコーナーの頂点にデブリがあるとの報告を受けた。3周目にマーシャルが出動準備に入り、すべてのマシンがターン1を通過したのを確認後にトラックへ入る予定だった」「しかし、ローソンがピットインしたことが確認された時点で、マーシャル出動の指示は取り消され、当該区間にはダブルイエローフラッグが掲示された。以降に何が起きたかについては現在も調査中である」終盤のVSC導入は「標準的な対応」レース終盤にはカルロス・サインツ(ウィリアムズ)のマシンが最終セクターのランオフエリアで停止したことで、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入された。この判断により、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)によるシャルル・ルクレール(フェラーリ)への2位争い、そしてオスカー・ピアストリ(マクラーレン)によるオリバー・ベアマン(ハースF1チーム)への追撃はいずれも阻まれる形となった。これに対しFIAは「標準的な手順に基づいた対応だった」として次のように説明している。「70周目にサインツがターン14外側のランオフエリアでスピンし停止した。マシンは露出した位置で停止し、直後に煙が上がり火災発生の通知を受けたため、マーシャルの出動が必要と判断された」「マーシャルがコース上で作業を行う場合、レースをニュートラル化するのが標準手続きである。このためVSCを発動し、マシンがバリアの後方で安全な位置に移動するまで維持した」「安全が確認され次第、VSCは解除され、レースはグリーンフラッグ下で終了した」レース運営の安全体制に再び焦点今回の2件はいずれも安全管理に関する重要な事例であり、とりわけローソンのケースはマーシャルとドライバー双方の連携ミスが疑われる深刻な事案だ。FIAは「再発防止のための詳細調査を継続中」としており、今後の報告次第では運営手順や無線連絡体制の見直しが行われる可能性もある。一方、VSCの判断については「安全最優先」の原則に基づくものとされ、終盤の混戦を制限したことに対してもFIAは「適切な措置だった」との姿勢を崩していない。
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