2025年F1第20戦メキシコシティGPの決勝が、現地時間10月26日(日)にアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスで開催される。標高2,200mを超える高地サーキットで迎える71周の戦いは、薄い空気によるパワー損失と冷却の難しさ、そしてグリップ不足という独特のコンディションが特徴だ。マクラーレン、レッドブル、フェラーリの3強が再び激突し、タイトル争いは緊迫の様相を呈している。
前日の予選ではランド・ノリスが圧巻の走りで今季5度目のポールポジションを獲得し、2番手にシャルル・ルクレール、3番手にルイス・ハミルトンが続いた。5番手のマックス・フェルスタッペンは、逆転タイトルを狙う重要な一戦でどこまで挽回できるかが注目される。コンストラクターズ争いでもメルセデスとフェラーリ、レッドブルが僅差で並び、標高の戦いは今季終盤戦を占う重要なレースとなる。■ 基本データ初開催:1963年コース全長:4.304kmラップレコード:1分17秒774(バルテリ・ボッタス/メルセデス/2021年)最多ポールポジション:ジム・クラーク(4回)最多勝利:マックス・フェルスタッペン(5勝)トリビア:標高7,200フィート(約2,200m)という高度による気圧20%減の影響で、イタリアに代わりメキシコが最高速度を記録するレースとなっている。2016年のレースでは、バルテリ・ボッタスがF1史上最高のトラップスピード(231.46mph/約372.5km/h)を記録したが、ウィリアムズのテレメトリーではターン1のブレーキング前に231.96mph(約373.3km/h)に達していたことが示されている。ポールポジションからターン1ブレーキングまでの距離:830m2024年のオーバーテイク数:91回セーフティカー導入確率:43%*バーチャルセーフティカー導入確率:71%*ピットストップでのタイムロス:21.9秒*過去7回のメキシコGPからの統計■ ドライバーの見解元ルノーF1ドライバーのジョリオン・パーマー:「アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスは低ダウンフォース特性を持つが、メキシコシティでは空気が薄いため、マシンは最大限のダウンフォースをかけて走ることになる。それでも常にグリップ不足で、全体的に限界ギリギリの感覚だ。序盤のセクションでは強いブレーキングゾーンがいくつかあり、中盤セクターでは前述の低ダウンフォースのせいでマシンが常に落ち着かない。早い段階で縁石の使い方を見極める必要があり、取りすぎるとマシンの姿勢が乱れてしまう。最終セクターはトリッキーで、スタジアム内では信じられないほど遅く感じる。最後から2つ目の右コーナーは一見何でもないように見えるが、グリップが低く壁が近いため、クラッシュしやすいポイントでもある。全体的にグリップレベルは非常に低く、マシンがぎこちなく感じるコースだ。ただし、メキシコの雰囲気は素晴らしく、いつも最高の盛り上がりを感じる。」■ 過去5年のメキシコGPポールシッター2024年:カルロス・サインツ(フェラーリ)2023年:シャルル・ルクレール(フェラーリ)2022年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)2021年:バルテリ・ボッタス(メルセデス)2019年:シャルル・ルクレール(フェラーリ)**マックス・フェルスタッペンが最速タイムを記録したが、黄旗無視により3グリッド降格ペナルティ。■ 過去5年のメキシコGP優勝者2024年:カルロス・サインツ(フェラーリ)2023年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)2022年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)2021年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)2019年:ルイス・ハミルトン(メルセデス)■ タイヤと戦略の見通し「オースティンと同様に、メキシコでもハードからミディアムへの選択に1段飛びの構成となる」とピレリの週末プレビューは述べている。「ミディアムとソフトは昨年と同じくC4とC5だが、ハードはC2となる。メキシコシティ・サーキットにおいて、このコンパウンドは非常に保守的な選択であり、他の2種類とのラップタイム差が大きく、グリップも低い。昨年、ソフトは予選でのみ使われ、決勝ではファステストラップを狙う場面で一部に使用されたに過ぎなかったが、今年は状況が大きく変わる可能性がある。C4とC5による優位性を活かすことで、レースの大部分をこれらで走り切る戦略もあり得る。しかし、それはデグラデーション(摩耗)のリスクを伴い、2ストップを強いられる可能性がある。一方でC2を選択すれば、パフォーマンスは劣るものの、比較的安定した1ストップ戦略を狙うことができる。チームは3回のフリー走行で燃料満載のロングランを行い、タイヤの状態を確認するだろう。例年、メキシコでは高度による空気の薄さのためダウンフォース量が減少し、タイヤが滑りやすくなることでグレイニング(表面のささくれ摩耗)が顕著に現れる。走行頻度の少ない路面でグリップが少ないことも影響している。現行のコンパウンドがこの現象に対してどれだけ耐性を示すか、またタイヤマネジメントに優れたチームが恩恵を受けるかにも注目だ。」■ 現在の情勢ドライバーズ選手権争いは前戦オースティンで新たな展開を迎えた。マクラーレンのオスカー・ピアストリは、チームメイトのランド・ノリスとの差が14ポイントに縮まり、チームはスプリントでダブルDNFを喫する厳しい週末となった。一方で注目すべきは、マックス・フェルスタッペンが依然として勢いを保っていることだ。スプリントで優勝し、決勝でも圧勝を飾ったことで、ポイント差は首位ピアストリまで40点に迫った。残り5戦(うち2戦はスプリント併催)となる中で、フェルスタッペンは「チャンスはある」と語り、「シーズン終盤まで完璧な週末を積み重ねる必要がある」と強調した。マクラーレン代表のアンドレア・ステラも「タイトルの行方は我々の手中にある」と述べ、チームとしてもメキシコでの巻き返しを狙う。その後方では、メルセデスとフェラーリがコンストラクターズ2位を争っており、フェラーリはオースティンでシャルル・ルクレールが表彰台を獲得するなど改善の兆しを見せた。レッドブルも4位につけており、わずかな差で追い上げている。ウィリアムズは依然として堅実な5位を維持しているが、中団争いは依然として接戦だ。レーシングブルズが6位グループをリードしているものの、6位から9位までのチーム差はわずか23ポイント。アルピーヌはやや離れて10位につけており、前戦アメリカGPでフランコ・コラピントがチームオーダーを無視してピエール・ガスリーを抜いた件の処理にも注目が集まる。■ 象徴的な瞬間2017年のメキシコGPのオープニ...
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