2026年F1開幕戦オーストラリアGPを前に、メルセデス陣営に新たな懸念材料が浮上している。燃料サプライヤーであるペトロナスの2026年仕様燃料が、FIAの最終承認に間に合わない可能性があると報じられた。開幕まで3週間を切るなか、持続可能燃料への完全移行という大改革の影響が、早くもパワーユニット戦線に影を落としている。
承認プロセス長期化で“暫定燃料”の可能性イタリアメディアは、バーレーンテストのパドック内で「ペトロナスは認証取得へ時間との戦いに直面している」との噂が広がっていると伝えた。仮にメルボルンまでに正式承認が完了しなかった場合でも、メルセデス勢8台の出走自体が脅かされることはないとみられる。ただし“暫定燃料”の使用を余儀なくされる可能性があり、その場合パフォーマンスへの影響は避けられない。2026年からF1は持続可能燃料を導入するが、プレシーズンテストでは最終仕様を使用していない。FIAは外部検査官を起用し、製造工程のすべてを監視しているため、今年は承認プロセスが大幅に長期化しているという。勢力図にも影響か 圧縮比問題も浮上メルセデスはバルセロナのシェイクダウン終了時点では2026年タイトルの最有力候補と目されていた。しかしその優位性は、急速に揺らぎつつある。今週のF1委員会では、メルセデスが用いているとされる燃料圧縮比の“トリック”が議題に上がる見通しだ。この手法は1周あたり複数コンマ秒の利益を生むと考えられており、禁止となればエンジン側の変更を迫られる可能性がある。燃料承認問題とレギュレーション解釈の不透明さが重なれば、メルセデスおよびカスタマーチーム(マクラーレン、ウィリアムズ、アルピーヌ)にとって、開幕戦は決して安泰とは言えない状況になる。各陣営も苦戦 燃料戦争は水面下で激化問題を抱えているのはペトロナスだけではない。昨年末には、フェラーリ陣営のシェルが2026年仕様燃料で誤りを犯したとの報道もあった。また、アストンマーティンと組むアラムコについても、経験不足を懸念する声がある。レッドブル・パワートレインズはエクソンモービルと提携し、アウディはカストロールと協業。巨大石油化学企業同士の競争も、2026年F1の新たな戦場となっている。タイトルパートナーでもある燃料企業への公的批判は、チーム代表にとって容易ではない。だが、持続可能燃料という新時代の中で、エンジン開発と並ぶ“見えない勝負”がすでに始まっているのは間違いない。オーストラリアGPのグリッドに並ぶその瞬間まで、燃料を巡る時間との戦いは続く。