メルセデスF1が公開した2026年F1マシン「W17」のシェイクダウン画像で、異例とも言えるディフューザー形状が確認されている。サイド後方に大きな開口部を設けたこの設計は、一見すると2009年に話題となった“ダブルディフューザー”を想起させるが、実際の狙いは異なるようだ。メルセデスは、F1のディフューザー規定に対して全く異なる解釈を見つけたようにも見える。
F1テクニカル解説者のクレイグ・スカーボローは、この開口部について「ダブルディフューザーとは呼ばない」と指摘。ディフューザー側面に設けられた大きな“穴”は、サイドポッドの深いアンダーカットと連動し、アンダーフロアを流れる気流をより強力に引き抜く役割を果たしている可能性があるという。この構造は、過去にメルセデスが断続的に採用してきた、いわゆる“マウスホール”概念を発展させたものと見られる。ディフューザー内部の圧力分布を制御しつつ、外部からの気流でフロアのシール性を高めることで、床下の負圧を安定的に維持する狙いがあると考えられる。単なる冷却目的や局所的な抜けではなく、ディフューザー全体の作動を前提とした空力設計であることを示唆している。スカーボローは、この構造によって“ブロウンディフューザー的な効果”を生み出す余地すらあると示唆しており、2026年レギュレーションの解釈において、メルセデスが一歩踏み込んだ可能性が浮かび上がる。W17は1月22日、シルバーストン・サーキットでシェイクダウンを実施。ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリがドライブし、全長2.979kmのインターナショナル・レイアウトで合計67周、約200km弱を走破した。走行後、トラックサイド・エンジニアリング・ディレクターのアンドリュー・ショブリンは「シェイクダウンとして堅実な初日だった。安全性と信頼性の確認が目的で、予定していた走行距離を問題なく消化できた」とコメント。マシンはブラックリーおよびブリックスワースでの作業成果を反映し、初走行から安定した稼働を見せたとしている。メルセデスはこの後、1月26日から始まるバルセロナでの走行に臨む予定だ。W17のディフューザーに見られる大胆な解釈が、実走データの中でどのような性能特性を示すのか。2026年F1新時代を占う、重要な技術的試金石となりそうだ。
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