メルセデスF1チームは、自動車技術企業のルミナー(Luminar)と協力し、F1セーフティカー用のレーザー検知システムの開発を開始した。ルミナーはすでにメルセデス・ベンツをはじめ、ボルボや日産などの自動車メーカーと協力し、路上での使用に向けた製品の改良に取り組んでいる。
フロリダを拠点とするルミナーのLight, Detection and Ranging(LiDAR)システムは、レーザーを使って車両周囲の環境の3Dマップを作成し、悪天候でも前方の物体を正確に検知できる。ルミナーは、最大250メートル前方の瓦礫、最大500メートル前方の物体を検出できるとしている。計画では、2024年中にセーフティカーで使用するシステムを開発し、FIAが満足することが証明されれば、レースウィークエンドに導入され、トラックコンディションに関する追加情報をレースコントロールにフィードバックする。メルセデスは「センサーはセーフティカー前方の環境についてリアルタイムの3Dマップを作成し、セーフティカーのドライバーは必要な高速を維持しながら、コース上での状況を判断する能力を著しく向上させる」と述べている。この装置は、セーフティカーを務めるメルセデスAMG GTブラックシリーズのルーフラインに組み込まれる。メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、ルミナーとのアレンジメントの可能性を強調した。「ルミナーのこれまでの道のり、彼らの技術、そして彼らの仕事ぶりには非常に感銘を受けている」とヴォルフは語った。「自動車産業やモビリティ全般に広範囲な影響を及ぼす、実にスリリングで革新的な分野だ」「我々のコラボレーションでは、ルミナーとメルセデス・ベンツ間の最初の開発作業を基盤として活用するものであり、我々がそれをどのように発展させていくことができるのか、とても楽しみだ」「ルミナーのイノベーションと起業家精神という文化は、我々自身の理念や価値観とも驚くほど合致しており、これは自然なコラボレーションだ」メルセデス・ベンツAGの最高技術責任者(CTO)であるマルクス・シェーファーは「当社のF1チームとのパートナーシップは、メルセデス・ベンツとルミナーとの既存のパートナーシップの自然な延長であり、メルセデスの市販車における事故のないドライビングという当社のビジョンの実現を支援するものである」と付け加えた。「メルセデス・ベンツは常に革新と安全の最前線に立っており、ルミナーとの開発努力を継続し、この技術を我々のF1チームにもたらすことを楽しみにしている」ルミナーは、F1を自社製品の理想的なショーケースとして捉えている。「ルミナーのテクノロジーは常に、自動車の安全性を向上させながら、パフォーマンスの限界を押し広げることをテーマにしてきました」と創設者兼CEOのオースティン・ラッセルは述べた。「そしてF1では、メルセデスAMGが自動車愛好家の世界的な舞台でそれを極限まで高めている」「メルセデス・ベンツとのパートナーシップのもと、市販車用に開発された最先端のテクノロジーは、メルセデスF1チームと共有され、市街地からアウトバーン、トラックまで、あらゆるスピードでパフォーマンスと安全性の優位性を実証することになる」