メルセデスF1のテクニカルディレクターを務めるジェイムズ・アリソンは、2022年のF1レギュレーション変更のスケールは比類のないものであり、過去30年間でF1で目にしてきたものすべてを「小さくみせる」と語る。メルセデスF1のコンストラクターズ選手権8連覇において、ジェイムズ・アリソンはテクニカルディレクターとして中心的な役割を果たしてきた。
そして、ジェイムズ・アリソンは、“巨大”と形容するルール変更を楽しみにしており、メルセデスF1の成功が2014年に始まったターボハイブリッド時代が当たったという“運”だけで成し遂げられたわけではないことを証明するチャンスだと捉えている。「レギュレーションセットに興奮しているのはメルセデスに限ったことではないが、このチームの一員としての個人的な経験から言えば、我々は新しいレギュレーションが登場したときにそれを心から楽しんでいる」とジェイムズ・アリソンはメルセデスF1のYoutubeビデオで語った。「我々は、それが我々がただ何年にもわたって幸運だったわけでなく、ターボハイブリッド時代として、まるでそれらのシーズンで支配的だったことが神から権利を与えられたようにしばしば語られるフォーミュラに偶然出くわしただけではないことを示す機会だと捉えている」次世代F1マシンとして登場する2022年マシンは、互いにより密接に追従できるように考案されており、これにより、オーバーテイクの機会が増え、ショーが後押しされることが期待されている。その目的を達成するために、F1のチーフはFIA(国際自動車連盟)とともに、グラウンドエフェクト効果を中心とした空力へのより単純なアプローチそ具現化した根本的に新しい設計哲学に基づいた大胆なビジョンを選択した。次世代F1マシンは、再プロファイルされたフロントウィングとリアウィング、バージボード、3Dフロアを備えており、安全性の向上、ピレリの18インチタイヤ、バイオ燃料の比率の高さにより、F1は新たな道を切り開いている。レッドブルの伝説的なチーフデザイナーであるエイドリアン・ニューウェイな一部の人にとっては、新しいレギュレーションは制限が厳しく、イノベーションの余地はほとんどない。「我々は、すべてのレギュレーション変更をそれらとの知恵比べをする機会と見なしている。我々が実際にまだ競争力に値するかどうか、マシンの背後にある物理学を理解したかうかを新たに示すことができるためのものと捉えている。それを設計とコンセプトに変換し、製造で実現し、再び競争力を発揮できるものをトラックに届けようと努力してきた」とジェイムズ・アリソンは語った。ジェイムズ・アリソンは、1991年にベネトンでF1の旅を始め、その3年後にミハエル・シューマッハが最初のF1タイトルを獲得。その後、1999年にトラックサイドのエアロダイナミストとしてフェラーリF1に加入し、ダイブルタイトル6連覇の重要な一員となった。ジェイムズ・アリソンは、各チームのデザイナーがクリエイティブをどのように発揮するかに関係になく、2022年のF1レギュレーションでもたらされる変化の大きさはF1史上で比類のないものだと語る。「私はこのスポーツで20年以上働いているが、それらは私が今まで見たものをすべて小さく見せる」とジェイムズ・アリソンは説明した。「ウィキペディアを掘り下げて、これまでのスポーツのすべてのシーズンを読んだとしても、2022年に伴う変化の規模に匹敵するものはないだろう」「ルールセットは巨大なだけではない。レギュレーションは、それ以前のレギュレーションの2倍のサイズだ。しかし、それらすべてが以前に出てきたものとはほぼ完全に異なっており、それは我々がマシンを端から端まで再発明しなければならなかったことを意味する」「どこを見ても、完全に新しい。新しいパーツによって新しいだけでなく、まったく新しい哲学のように新しい・・・まったく異なる空力パッケージ、異なるブレーキ、異なるホイール、決定的に異なるタイヤ・・・」「さらに・・・他の多くよりもレギュレーション影響を受けにくいエンジンもしくはパワーユニットでさえ、3年間凍結できるように準備する必要がある」「そこに詰め込める可能性のあるすべての良さを今すぐに詰め込むか、永遠に黙っている必要があるかだ! その後、変更を加えるのは非常に困難になるね」メルセデスF1は、2022年にルイス・ハミルトンの新しいチームメイトとしてジョージ・ラッセルが加入。コンストタクターズチャンピオンの防衛とドライバーズチャンピオンシップの奪還を目指して戦う2022年F1マシン『W13』を2月18日に発表する。