メルセデスの親会社であるダイムラーは、メルセデスF1チームをアストンマーティンのオーナーであるローレンス・ストロールに売却する計画が議論されているとの報道について“根拠のない無責任な憶測”だと否定した。ドイツのAuto Bild と F1 Insider は、現在、ダイムラー内部で2020年シーズン以降のメルセデスF1チームの将来が議論されていると報道。トト・ヴォルフがチームの株式の30%を保持してチーム代表を辞任し、ダイムラーが保有する70%の株式をローレンス・ストロールが取得すると報じた。
また、最近、メルセデスAMGの会長兼株主であるトビアス・ムアースがアストンマーティンの新たなCEOに就任した。これはすでにアストンマーティンの5%の株式を保有するダイムラーが、その株式保有率を引き上げることと引き換えに、ローレンス・ストロールにチーム引き渡すという計画の一部であるとの推測を呼んだ。しかし、ダイムラーはすぐさま声明を発表し、メルセデスF1チーム売却の報道を否定した。「F1撤退の可能性に関する根拠のない無責任な憶測が続いているが、F1は新型コロナウイルスのパンデミックに対して適切な対策を講じ、将来の財政的な持続可能性についても対応している。当社はそれらの取り組みを歓迎している」とダイムラーは声明で発表。「メルセデス・ベンツのワークスチームとして、今後もF1で競争し続けること、そして、それをマネージングパートナーであるトト・ヴォルフと共に遂行していくことを明言する」メルセデスのF1撤退はこれまで何度も報じられ、そのたびに否定されている。だが、メルセデスの親会社であるダイムラーは、コスト削減に対する圧力が高まっているのは事実だ。昨年、ダイムラーで13年間CEOを務めたディーター・ツェッチェが退任し、オラ・ケレニウスが就任。2020年末までに8億5000万ポンド(1188億円)超のコストを削減すると発表している。メルセデスは10年前にF1でファクトリーチームを復活させて以来、F1プログラムに数十億ドルを費やしてきた。過去6シーズンを支配して賞金とマーケティング面で成果を上げてきたが、大幅な人員削減の現実と伴ってF1に参戦することは浪費と受け止められている考えられているようだ。メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、オラ・ケレニウスとの関係が良くないことが報じられている。最近では、F1チームの運営についてダイムラーのオラ・ケレニウスの方がパワーを持っている。F1オーストラリアGPではトト・ヴォルフはグランプリの継続を望んでいたが、オラ・ケレニウスからの電話によって反対派に回らざるを得ない状況となった。このような状況を踏まえて、トト・ヴォルフの退任やメルセデスのF1撤退が噂され続けているが、例え否定がなされても何が起こるかわからないのがF1の世界だ。
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