レッドブルF1のデザイナーであるエイドリアン・ニューウェイは、メルセデスのDASには空力的理由があるに違いないと考えている。メルセデスF1は、2020年にDAS(デュアル・アクシス・ステアリング)と呼ばれる物議を醸す新しいシステムをレースに導入する予定だ。先週のF1バルセロナテストでルイス・ハミルトンがステアリングを押し引きしてフロントタイヤのトー角を調整していることがオンボード映像が発覚したことで、パドックに大きな動揺を引き起こした。
だが、現行レギュレーションにおいてはDASは完全に合法なようだ。「僕たちのチームがFIA(国際自動車連盟)が禁止すると考えるものを開発し始めるとは思わない」とバルテリ・ボッタスは語り、実際にメルセデスは1年前にDASのコンセプトに取り組み始めたことを明らかにしている。2020年の技術規則ではDASシステムは禁止にはならないと多くの人々は同意しているが、レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは違反だと考えている。また、DASシステムは、主にタイヤの過熱もしくは冷却に関するものだという議論がなされているが、レッドブルF1のデザイナーを務めるエイドリアン・ニューウェイはそれには同意しない。「空力的理由があるに違いない」とエイドリアン・ニューウェイは Auto Motor und Sportに語った。「そして、それがどのように合法であるかを見極めるのは難しいと思う。ドライバーは、ハンドルを押したり引いたりしているときにマシンを操縦しているわけではない」2021年のF1レギュレーションでは、ステアリングホイールでできることはすべて左または右に回すだけであることが明確になったため、DASは謹慎となる。フェラーリのF1チーム代表マッチア・ビノットは、ライバルチームがメルセデスのシステムをコピーするのにシーズンの半分がかかる可能性があると語る。「FIAはすでに正しい決定を下している、もしくは、そうするだろうと確信している。しかし、私はFIAが判断することを完全に信頼しています」と語っている。FIAはDASシステムが安全であるとも考えているようだ。バルテリ・ボッタスDASを使用するに“まったく違和感を感じない”と語っており、ルイス・ハミルトンも先週同じような発言をしている。。メルセデスのF1チーム代表トト・ヴォルフでさえ、DASをシミュレータで試してみ次のように語っている。「不自然な動きだが、動きは小さく、まっすぐに行うだけだ」トト・ヴォルフは語っている。FIAの情報筋は、クラッシュ時のステアリングコラムの強度についても懸念がないと述べ、ピレリは、“トーイン”と“トーアウト”を調整することが、タイヤの安全性を損なうことはないと語る。「テスト中にすべてのチームのタイヤを分析したが、メルセデスが使用しているものに異常は見つからなかった」とピレリのF1責任者を務めるマリオ・イソラは語った。
全文を読む