FIAのレースディレクターを務めるチャーリー・ホワイティングは、F1イタリアGPの決勝でメルセデスがタイヤ交換の“ブラフ(はったり)”を仕掛けたことは問題ではなく、“すべてゲームの一部”だと語った。F1イタリアGPのレース序盤、ルイス・ハミルトンがキミ・ライコネンを追っていた際に、メルセデスはピットクルーがガレージからタイヤを持ち出してピットストップをする動きをみせたが、キミ・ライコネンがピットインしたのを確認してガレージに戻った。メルセデスはその動きを2回行っている。
メルセデスの動きは、F1競技規約の28.12 「チーム関係者がピットレーンに入ることが許されるのは、ピット作業の直前からであり、ピット作業が終了次第、退去しなければならない」に違反しているのではないかとの声が上がった。しかし、FIAレースディレクターを務めるチャーリー・ホワイティングは、メルセデスは何も間違ったことはしていないと感じていると述べた。「私のフィーリングでは、それはすべてゲームの一部だ」とチャーリー・ホワイティングはコメント。「チームが実際にピットストップを行わないのにピットレーンでうろちょろしているのは好ましくない。だが、彼らはそれをするつもりで出てきたのであれば・・・もし彼らが毎ラップでそれをしていたのであれば、我々は何かを言いたいと思う」「だが、彼らはピットストップをしようと十分に考えた後、考えを変えたのかもしれない。誰かがあからさまに不適当なことをしない限りは、我々がそれについて何かすることはない」一方、メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフは、フェラーリの行動せざるを得なくするための“見掛け倒し”のピットストップだったとの見方を否定した。「見かけ倒しのストップではなかった」とトト・ヴォルフはコメント。「アンダーカットやオーバーカットを狙う場合には準備が必要だ。キミが入ってくるかどうかはわからなかったし、逆のことをするというメッセージだった。逆のことをするにはピットクルーが準備しておく必要がある」キミ・ライコネンは、21周目にピットインしてソフトタイヤに交換。メルセデスはルイス・ハミルトンをステイアウトさせて、28周目に呼び寄せた。ハミルトンはライコネンの後ろで戻ったため、オーバーカットは失敗かと思われたが、終盤、そのタイヤ寿命の差が顕著に表れ、ブリスターに苦しんでいるライコネンをハミルトンが残り8周でオーバーテイク。最終的に8.7秒の差をつけて勝利を手にした。