メルセデスは、2018年F1マシン『W09』でレッドブルスタイルの“ハイレーキ”コンセプトへの変更を検討している。今季、メルセデスは“ディーヴァ”と呼ぶロングホイールベースのW08のバランス特性に苦しんだ。シルバーストンやモンツァのような高速サーキットでは圧倒的な速さを見せる一方で、モナコ、カンガリー、シンガポールのようなタイトなコーナーのあるトラックでは苦戦を強いられた。
トラック間のパフォーマンスの上下は、メルセデスがライバルよりも長いホイールベースを採用していることによって説明されているが、チームは他の特性もパフォーマンスに大きな影響を与えている可能性があると考えている。W08の特性を根絶するためにメルセデスが評価しているエリアのひとつが、レッドブルが採用する高いレーキ角をつけたマシンコンセプトを追求するかどうかだ。メルセデスは、先週末のF1ブラジルGPでサスペンションのセットアップに大きな変更を加えている。それはハイレーキ・コンセプトのトライアルに関連していた可能性がある。レーキ角をつけて、フロントが低くリアを高くする前傾姿勢をとることで、フロントウイングで気流を密閉し、マシン下部の気流を多くすることでディフューザーのパフォーマンスを向上させて、グランドエフェウトのような効果を生み出すことができる。だが、フロアのティートレイがボトミングする可能性もあるため、マシン前部を可能な限り低くするチャレンジングでもある。2014年にF1に導入されたチタン製のスキッドブロックは、部分的にハイレーキなアプローチを防ぐことを目的とされてが、レッドブルはそのエリアにうまく対処してきた。メルセデスは、2017年の両方のチャンピオンシップを決めたことで、F1ブラジルGPからより高いレーキ角での実験を開始した。今年のフェラーリとメルセデスのコンセプトの最大の違いのひとつが、マシンのホイールベースにある。メルセデスのアプローチは、タイトなトラックでのパフォーマンスを犠牲にしてでも、W08により長いホイールベースを採用することでシーズン全体で見れば恩恵を得られるという考え方だ。しかし、メルセデスはハイレーキ・コンセプトに変更する可能性はあるものの、ホイールベースに大きな変更を加える可能性は低いかもしれない。メルセデスのモータースポーツ責任者を務めるトト・ヴォルフは「より厳しかった時代でも長いホイールベースが関係していたとは思わない」と主張。「我々はディーヴァの特性を維持したいが、困難な部分は少し取り除きたい」「グリッドを通して我々が目にできるのは、多くの人々が機能する日とそうでない日がある理由を理解することに苦労しているということだ」「現在、我々が苦しんでいる根本的な原因を特定し、来年のクルマでそれを避けるようにマシン開発を進めている。当然だが、我々はクルマの設計プロセスからはかなり遅れている」