マクラーレンF1が、2025年シーズンを通じて大きな議論を呼んだ「パパイヤ・ルール」の呼称を正式に廃止したことが明らかになった。ランド・ノリスとオスカー・ピアストリによるタイトル争いの中で、チームオーダーやレース中の優先順位を巡る混乱の象徴となっていたこの言葉は、2026年シーズンを前に姿を消すことになる。
“パパイヤ・ルール”は混乱の象徴になっていた“パパイヤ・ルール”は当初、マクラーレンの2人のドライバーが公平かつ安全に戦うための内部指針として導入されたものだった。2025年F1イタリアGPで公に知られるようになったが、実際にはそれ以前からチーム内部で運用されており、「接触せず、互いに十分なスペースを残したうえで自由に戦う」という考え方を示すものだった。ランド・ノリスのレースエンジニアを務めるウィル・ジョセフは、当時ノリスに対して「パパイヤ・ルールを尊重したうえで攻撃できる」と伝えていた。マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラも当時、その哲学について次のように説明していた。「我々の推奨は常に“パパイヤ・ルール”に従ってレースをすることだ。つまり、マシンがパパイヤカラーである以上、他のどんなライバルと戦う時以上に慎重でなければならないという意味だ」また、CEOのザク・ブラウンはよりシンプルにこう表現していた。「互いを尊重して戦い、十分なスペースを残し、接触しないことだ」しかしシーズンが進むにつれ、このルールの解釈を巡って疑問の声が高まっていった。モンツァでオスカー・ピアストリにランド・ノリスへポジションを譲るよう指示が出された件や、シンガポールでの接触未遂騒動などをきっかけに、「実際にはノリス優遇ではないか」との批判も噴出した。その議論はF1界を超え、オーストラリア議会でピアストリへの扱いの公平性が議題に上がるほどの騒動へ発展した。最終的に2025年シーズン、ピアストリはランキング3位でシーズンを終え、ノリスに13ポイント差で敗れた。マクラーレンは“別の表現”へ移行こうした状況を受け、マクラーレンは2026年シーズンから“パパイヤ・ルール”という言葉自体を使わない方針へ切り替えた。ザク・ブラウンは現在、「我々のレースのやり方」という、より一般的な表現を使用しているという。オスカー・ピアストリも内部方針の変化を認めている。「パパイヤ・ルールは違った形になると思う」とピアストリはコメントした。「去年の僕たちは、必要以上に物事を複雑にしてしまっていた部分があったと思う」さらに、元フェラーリのエンジニアであるロブ・スメドレーは、ポッドキャスト『High Performance Racing』でこの名称自体が問題だったと指摘した。「“パパイヤ・ルール”なんて呼び方をした時点で、マーケティングが真剣な問題に入り込みすぎていた」司会のジェイク・ハンフリーも、すでにマクラーレン内部ではこの表現が使われなくなったと明かしている。「彼らはもうその言葉を捨てた。最近聞いた話では、“パパイヤ・ルール”という言葉は今後使わないそうだ」「ほとんど風刺みたいな存在になっていた。混乱の時代を象徴する言葉として認識されていたんだ。もうこの表現を聞くことはないと思う」問題は“ルール”ではなく“曖昧さ”だったロブ・スメドレーは、チーム内での“ルール・オブ・エンゲージメント”そのものはF1では珍しいものではないと説明した。「マクラーレンにもあったし、フォース・インディアにも、ウィリアムズにもあった」「重要なのは、シーズン開幕時点ですべてが明確であり、チーム首脳陣もドライバーも全員が理解していることだ。そこに問題はない」一方で、2025年のマクラーレンにはその“明確さ”が欠けていたと見ている。「問題は、ガレージの50%だけがルールを知っていて、残り50%が理解していない時に起こる」「そうなると緊張が生まれ、本当の問題になる」「もちろん私はチーム内部にいたわけではない。ただ、完全な明確さがなかったように見えた。もし本当に明確なら、そもそも問題なんて起きないはずだからだ」
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