2026年F1レギュレーションを巡る調整は、マイアミGPに向けた暫定的な修正にとどまらない可能性がある。FIAと各チームが合意したエネルギー管理の変更は一定の改善をもたらす見込みだが、より根本的な問題は依然として残されている。その中でマクラーレンは、現在の問題を完全に解決するにはパワーユニットそのもの、すなわちハードウェアに踏み込んだ変更が必要になるとの見解を示した。単なる運用調整では限界があるという認識が、すでにパドック内で共有されつつある。
マイアミ向け修正は「対症療法」に近い今回の調整では、エネルギー回生量の削減やスーパークリッピングの350kWへの拡張によって、2026年型マシン特有の挙動が緩和される見込みだ。リフト・アンド・コーストは減少し、ストレート終盤での急激な失速も抑えられるとされている。実際のデータでも、短〜中距離の加速区間後のブレーキングでは、従来に近い速度推移へ戻る傾向が確認されている。ただし、長いストレートでは依然として最高速の落ち込みが残る可能性がある。シミュレーション上では一定の改善が見込まれているものの、その効果が明確になるのはマイアミおよびモントリオール以降とされている。ステラ「根本解決にはハードウェア変更が必要」アンドレア・ステラは、より大きな改善にはハード面の変更が不可欠だと指摘した。「もしFIAが完全に自由にパワーユニットを使うことを許した場合、現実的にはチームはラップタイムを最大化する方向で使うことになる」「しかしラップタイムの最適化は、自然なドライビングや予選でのフルプッシュ、あるいはレース中の速度差といった要素を必ずしも考慮しない」「今回のような調整は、ドライバーがフルプッシュできる状態を作り、レース中の速度差を減らすために必要だ」「より本質的な改善、たとえばエネルギー不足の解消や、高速コーナーで減速が不足するような状況を改善するには、ハードウェアに手を入れる必要があるかもしれない」「例えばバッテリー容量の増加や、内燃エンジンの燃料流量を増やすことが考えられる」「ただし、こうした変更は1戦ごとに導入できるものではなく、シーズン単位でも難しい可能性がある」「それでも、より根本的に改善するための議論はすでに始まっている。規則として十分な余裕を持たせることで、ショーとしての魅力と、ドライバーが限界まで攻められる環境の両立を図る必要がある」残る“エネルギー制約”とF1の本質パフォーマンスディレクターのマーク・テンプルも、新世代PUにおける「エネルギー制約」は完全には消えないとの見方を示した。「新しいパワーユニットでは、エネルギーをどこで使うかを考える必要がある状況は残る。『エネルギー不足』という言い方は強すぎるかもしれないが、効率的に使う必要があるフォーミュラであることは確かだ」「以前のようにパワーユニットを気にせず走ることはできないが、それは過去に燃料管理が重要だった時代と大きくは変わらない」「ここ数年は燃料管理の影響が小さかっただけで、レースにおいて完全に無関係だったわけではない」「今回の変更によって、リフトして効率を落とし、再び加速するような直感に反する挙動は排除されるはずだ」「ただし、想定していなかった問題が出てくる可能性もあり、その場合は再評価が必要になる」今回の議論が示しているのは、2026年F1が単なる調整段階を超え、「設計思想そのもの」の見直しに入りつつあるという点だ。エネルギー配分というコンセプトは維持される一方で、そのバランスをどこに置くべきか──その答えは、すでに次の規則サイクルに向けて模索が始まっている。