マクラーレンCEOのザク・ブラウンは、先月バルセロナで実施されたプレシーズン・シェイクダウンテストを振り返り、新たに投入されたレッドブル・フォードのF1パワーユニットについて「非常に、非常に強力だ」と評価し、2026年F1における大きな驚きの一つだと語った。このエンジンを搭載したマシンのうち、タイムシート上で最上位だったのはマックス・フェルスタッペンのレッドブルで、順位は7番手。最速だったルイス・ハミルトン(フェラーリ)からは1.238秒遅れだった。
ただし、シェイクダウンのラップタイム自体に大きな意味はなく、レッドブル・パワートレインズが初めて手がけたパワーユニットは多くの周回数をこなし、パフォーマンス面でも有望な兆しを示した。「バルセロナのテストで何が一番驚きだったかと聞かれれば、レッドブル・フォードのエンジンは本当に、本当に強力に見えた。彼らには脱帽だ」とブラウンは語った。「速そうだっただけでなく、信頼性も非常に高かった」「全体的な信頼性もとても印象的だった。非常に洗練されていて、新しく、まだ成熟していないレギュレーションの初期段階としては、驚くほどだ。全チームがこれだけ多くの走行距離を稼げたのは素晴らしいことだ」「だから際立っていたのは、(レッドブルの)フォードエンジンと、こうした高度な新ルールのもとでの全体的な信頼性だと思う」マクラーレンのチーム代表であるアンドレア・ステラも、レッドブルのパワーユニットの出来を高く評価しており、メルセデス、フェラーリと並んで「良いスタートを切った3社のうちの1つ」だと述べている。ディフェンディングチャンピオンであるマクラーレンにパワーユニットを供給するメルセデスは、現時点で得られる限られた情報から判断する限り、最も強力なパッケージを持っていると広く見られている。一方で、その設計上の優位性を問題視するライバル陣営が、ルール変更を求めて動いている点は依然として不透明だ。現行レギュレーションでは、V6エンジンのシリンダー内の最大圧縮比は16:1と規定されており、これは外気温で測定されることになっている。しかし、メルセデスはエンジンが高温状態で作動する際、この数値を事実上超える手法を見つけたのではないかと見られている。ただしブラウンは、これを「典型的なF1の政治」だとして一蹴し、メルセデスが得ているとされる優位性を過小評価した。さらに、エンジンの合法性については、メルセデス代表トト・ヴォルフの見解にも同調している。「このエンジンはレギュレーションに完全に準拠する形で設計されている。それがこのスポーツの本質だ」とブラウンは語った。「過去に見てきたダブルディフューザーのような事例と何も変わらない。ルールの範囲内で成立しているということだ」「競合が主張するほど大きなアドバンテージがあるとは思っていない。ただ、彼らの仕事は、何らかの優位性があると感じれば、それをストーリーに仕立てることだ。現実としては、エンジンは完全に合法で、すべてのテストをクリアしている。HPP(メルセデスのハイパフォーマンス・パワートレイン部門)は良い仕事をしていると思う」「これはメルセデスの話題だ。我々はパワーユニットを設計・製造しているわけではない。HPPは我々が非常に関心を持っていることを理解していて、情報共有はしてくれるが、パワーユニットのワーキンググループに参加しているわけではないので、そこでの議論には関与していない」またブラウンは、ルール変更によって自チームおよび他のメルセデスPU搭載チームがレースに出走できなくなる可能性についても否定した。「オーストラリアでメルセデスのチームがグリッドに並ばない、なんてことは想像できない」とブラウンは語った。「そうした話し合いに我々は関与していないので、パワーユニットの観点からどんな変更が必要になるのかも分からない。ただ、オーストラリアでは間違いなくすべてのメルセデス勢がグリッドに並ぶだろう」FIAの立場メルセデスのライバル陣営は、開幕戦までにF1のエンジンルールを変更する提案に取り組んでいるとされており、FIAのシングルシーター部門責任者であるニコラス・トンバジスは、3月初旬のオーストラリアGPまでにこの問題を解決したいという意向を改めて示している。「我々は、この問題をどう解決するかについて多くの時間を費やして議論してきた」とトンバジスは、FIAのYouTubeチャンネルで公開されたQ&Aセッションで語った。「もちろん、シーズン開幕までに解決することが我々の意図だ」「論争は望んでいない。人々には、法廷やスチュワードルームではなく、サーキット上で競い合ってほしい」トンバジスは、2026年に向けて圧縮比の上限が18:1から16:1に引き下げられた理由について、新規参入メーカーが既存メーカーと競争できるよう支援するためだったと説明した。また、大きなレギュレーション変更の際に、チームがグレーゾーンや抜け穴を探すのは自然なことだとも述べている。「新規参入のメーカーは、既存メーカーに比べて大きく遅れた状態からスタートしている。そのため、彼らが公平な競争条件で参戦できるよう、いくつかの仕組みを用意する必要があった」とトンバジスは語った。「そうでなければ、コストキャップや各種制限がある中で、彼らは常に追いつくのに苦労することになっていただろう」「それでもなお、彼らにとっては非常に大きな挑戦であることに変わりはない。決して簡単な仕事ではない。だからこそ、新規参入の条件の一つとして、ある程度の簡素化やコスト削減を図る必要があり、その一つが圧縮比だった」「かつての18:1という上限は、正直言ってほとんど意味をなさない数値だった。そこに到達すること自体がほぼ不可能だったからだ。それを16:1に下げたのは、一種の妥協だった」「もちろん、エンジニアたちは非常に賢く、常に優位性を追求している。エンジンが高温で作動している際に、この圧縮比を実質的に高める方法を見つけた者もいる」「これは数字と統計の問題であり、新しいレギュレーションが導入されれば、こうした議論の余地が生まれるのは避けられない。これまでも常にそうだった」「ただ一つ変わった点があるとすれば、我々はこの選手権を、ルール解釈の争いではなく、最高のドライバー、最高のエンジニア、そしてチーム同士が競い合う場にしたいと強く考えているということだ」
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