マクラーレンは、元F1テストドライバーでインディカー王者のアレックス・パロウとの契約紛争をめぐる裁判で、総額1200万ドル超(約18億6000万円超)の損害賠償を勝ち取った。裁判所は、パロウが2023年にマクラーレンのインディカー参戦契約およびF1テスト/リザーブドライバー契約を破棄し、チップ・ガナッシ・レーシングに残留したことによる商業的損失の大部分を認定した。
今回の認定額は、マクラーレンが請求していた総額の半分以上に相当する。一方で、F1関連の一部請求は棄却されており、評価は分かれた形となった。マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは、この判断を「完全に妥当な結果」と表現した。一方、アレックス・パロウは「マクラーレンにいかなる損害も認められたこと自体に失望している」と述べ、かつて最大約1500万ドル(約23億3000万円)に達していたF1関連請求が「全面的に棄却された」点を強調した。パロウは、2024〜2026年までの参戦(2027年オプション付き)とF1プログラムを含む契約を破棄し、チップ・ガナッシ・レーシングに残留したことを認めている。弁護側は、F1昇格の見通しについて誤解を招かれたこと、また請求額の一部が過大あるいは無関係であると主張していた。裁判所が認めた主な損害裁判所は、パロウが起用される前提で組まれていたNTTのインディカー・スポンサー契約に関する損害をほぼ全面的に認定した。2024〜2026年分で538万ドル(約8億3400万円)、2027年分で95万ドル(約1億4700万円)が認められている。さらに、出来高連動の逸失収益として200万ドル超(約3億1000万円超)、その他スポンサー損失として200万〜250万ドル(約3億1000万〜3億8800万円)が認定対象となった(最終額は別途判断)。また、パロウ離脱後に少なくとも1人のトップドライバーを確保するために発生した費用として、パト・オワードの年俸引き上げ分130万ドル(約2億150万円)、さらにゼネラルモーターズから受け取るはずだった「Aレベルドライバー」起用対価として50万ドル(約7750万円)も認められている。一方で、F1スポンサー関連、パロウのテスト費用、サインオンボーナスに関する請求は棄却された。これとは別に、利息および訴訟費用の精算については、後日の審理で判断される見通しだ。なお、訴訟期間中のパロウはチップ・ガナッシ・レーシングの支援を受け、潜在的な損失についてはチーム側が補償していた。当事者のコメント「判決が示す通り、我々はアレックスに対する契約上の義務をすべて果たし、合意内容を完全に履行していた」とザク・ブラウンは述べた。一方、パロウは、専門証人として協力した元F1チーム代表のオトマー・サフナウアーに謝意を示し、「今後の選択肢を助言者と検討している」とコメントした。「今回の判断は、私に対する請求がいかに過大だったかを示している。F1シートを与えられないと知った上でマクラーレンに乗らない選択をしただけで、多大な時間と費用が費やされたのは残念だ。代わりに起用されたドライバーから得た利益を考えれば、マクラーレンに損失はないはずだ」とも述べている。“後任”をめぐる混乱パロウが言及した「後任ドライバー」が誰を指すのかは明示されていないが、現在もマクラーレンに在籍するノーラン・シーゲルを指すとみられる。実際には、パロウの翻意後にマクラーレンが最初に獲得したのはデイビッド・マルーカスだったが、オフシーズンの負傷により実戦出走はなく、その後テオ・プルシェールが起用されたものの、最終的にシーゲルがレギュラーシートに落ち着いた経緯がある。最後に、チップ・ガナッシは「アレックスには今も、そしてこれからも全面的な支援を与える。法的手続きは尊重するが、我々の焦点は常にレースと勝利にある」と述べ、体制への影響を否定した。
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