マクラーレンがF1カタールGPで、7周目のセーフティカー導入時に2台をピットインさせなかった唯一のチームとなり、ライバル陣はこの判断に「非常に驚いた」と語っている。7周目のピットウインドウ開幕タイミングでほぼ全車が“無料のピットストップ”を選択したのに対し、マクラーレンだけがステイアウトを選択。結果としてオスカー・ピアストリの勝利、ランド・ノリスの表彰台を逃し、マックス・フェルスタッペンに逆転優勝への“生命線”を与えることになった。
7周目のSCは「最悪のシナリオ」 ライバル陣は即ピットを既定路線として想定7周目のセーフティカーは、ニコ・ヒュルケンベルグとピエール・ガスリーの接触によって発生した。ピレリが1セット最大25周の制限を設けたことで、57周のレースでは7周目にピットすれば32周目の2回目のストップを挟んで十分に走り切れる計算だった。実際、ほぼ全車がピットインしたが、マクラーレンは例外だった。レッドブルのローラン・メキースは次のように語った。「はい、驚いた。レース後なら何が正しいかは簡単に言えるが、我々としては7周目がピットできる最初の周で、そうすると事前に決めていた。ただ、どんな思考だったのかは判断できない」アストンマーティンのマイク・クラックも同調した。「ええ、とても驚いた。事前準備でこうしたケースは議論する。全員が入って2台だけが入らなかったという事実が、たぶんミスだったことを示している。みんなが来ると思っていたので驚いた」フェラーリのフレデリック・バスールも、25周ルールの前提から7周目のSCは「最悪」として想定済みだったと明かす。「レース前に、最悪のケースは7周目のセーフティカーだと言っていた。みんながそこで入り、次は32周目に入るからだ。この状況でMcLarenだけが違う戦略にしていた。正直、理解できなかった」ウィリアムズも“奇策”を検討したが結局は通常戦略を選択ウィリアムズはアレックス・アルボンがポイント外だったため“何か違うことをする”案もあったが、最終的には通常どおりピットインした。ジェームス・ボウルズはこう説明した。「アレックスについては議論があったが、結論は『16秒速いから』というものだった。カルロスは確実に入る。結果として正しい判断だった」マクラーレンは「全車が入るとは想定していなかった」マクラーレンのアンドレア・ステラは、2台がピットで渋滞し不利になることを避けるため、全車が入るとは思っていなかったと説明している。その判断は誤算となり、ピアストリは2位、ノリスは4位でフィニッシュ。最速のマシンを持ちながら戦略で取りこぼし、フェルスタッペンは優勝とともにタイトル争いの“命綱”を確保。ノリスとの差はわずか12ポイント、ピアストリも16ポイント差で最終戦アブダビへ向かうことになった。