マクラーレンF1チーム代表のアンドレア・ステラは、チームが今季後半に新しいアップグレードを投入していない理由について「MCL39の開発が実質的に頭打ち(plateau)」に達したためだと説明した。すでにコンストラクターズ選手権のタイトルを確定させたマクラーレンだが、現在はドライバーズタイトルをめぐってマックス・フェルスタッペンとの戦いが続いている。オスカー・ピアストリとランド・ノリスのいずれかが2008年以来となるドライバーズ王座を獲得するかが焦点だ。
一方で、フェルスタッペンが新型フロアやフロントウイングを投入して再び優勝争いに食い込むなか、マクラーレンはここ数戦にわたって新パーツを投入していない。この状況に加えて、ピアストリが調子を崩したことで、サウジアラビア以来初めてノリスがランキング首位に立ち、過去5戦でフェルスタッペンがピアストリとの差を69ポイント縮める展開となっている。開発を止めた理由:「これ以上の改良は意味がない」ステラは、チームがMCL39の開発を続けても「実質的なパフォーマンス向上を見込めない」と判断したと説明した。「F1チームでは非常に効率的な方法で仕事を進めている。CFDや風洞実験といった手法を組み合わせ、どちらか一方がボトルネックにならないようにしている」とステラは語った。「そのすべてを融合させて“ひとつの制約”として機能させている。まさに我々の場合がそうだった」「つまり、2025年マシンの開発に3週間多く費やしても、1周あたり0.1秒縮められるわけではない。我々は完全にプラトー(上限)に達したんだ」ステラはさらに、シーズン中盤に投入したアップグレード群が「限界に挑んだ成果」だったと述べた。「シーズン中盤に導入したアップグレードは非常に大きな取り組みだった。あの段階で『もうこれで終わりにすべきか?』という議論もあったほどだ。すでに成熟したプロジェクトをさらに改善するのは難しかった」他チームとの比較:「改善より“修正”がしやすい」ステラは、他チームがシーズン後半もアップデートを試みて逆にパフォーマンスを落とすケースが見られることに言及し、現代の空力開発の複雑さを指摘した。「多くのチームが開発を試みたが、逆方向に進んでしまうこともある。それは非常に洗練された空力構造を持つ現代F1マシンならではだ」「特定の問題があるときは、むしろ開発が簡単になる。たとえばレッドブルは、ハイダウンフォース仕様のリアウイングを使うときにフロントウイングのバランスに苦労していたと話していた。そういう場合は“問題を修正する”ことでラップタイムを見つけられる」「だが、すでにすべてがうまく機能しているマシンをさらに良くしようとするのは、はるかに難しい」と締めくくった。成熟の代償と次なる焦点マクラーレンは今季、MCL39の空力効率とバランスを高次元で完成させ、序盤戦の苦戦からシーズン中盤にかけて圧倒的な成長を遂げた。しかし、その“完成度の高さ”こそが、シーズン終盤でのアップデート停止という形で裏目に出ている。現状、マクラーレンは車体開発よりも運用最適化と2026年レギュレーションへの準備に注力しており、今季残りの戦いはドライバー2人の手に委ねられることになる。
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