マクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエは、ホンダとの3年間のF1シーズンは、信用を失い、スポンサーを獲得できるなくなるという“最悪の状況”だったと述べた。マクラーレンは、F1シンガポールGPのフリー走行1回目の終了後、ホンダとのパートナーシップを今シーズン限りで解消し、2018年からルノーと3年間のF1エンジン契約を結んだことを発表した。
2015年のホンダのF1復帰で復活した“マクラーレン・ホンダ”。しかし、1980年代後半から1990年代前半に黄金時代を築いた強さはなく、2015年はコンストラクターズ9位、2016年は6位、今シーズンも現状では9位とマクラーレン史上、最悪の3シーズンを過ごした。エリック・ブーリエは、マクラーレンがホンダとの決別を決意したのは、ホンダの新型F1パワーユニットにトラブルが多発したプレシーズンテストの後だったとF1公式サイトのインタビューで語った。「決定的な瞬間は、バルセロナのテスト後だった」とエリック・ブーリエはコメント。「他のエンジンメーカーとの話し合いを含め、短期間で状況を改善するために、我々はホンダを支援し、仕事をしようとしていた」「詳細を語るつもりはないが、彼らがシーズンにむけて合意していたターゲットを再び逃していることは明らかだった。そして、夏までに我々がこのまま続けるかどうかを決断する必要があることがわかった。日付をいうことができないが、夏までに逃していたターゲットがいくつかあった」2013年末にタイトルスポンサーであるボーダフォンを失って以降、マクラーレンからはスポンサーが離れており、ランキング下位に新たなスポンサーを引きつけることに苦労している。「過去3年間を見れば、信用を失い、新しいスポンサーを獲得するという点では大惨事だった」とエリック・ブーリエは振り返る。「それに長期的な視点で捉えなければならない。今後5年間で我々は絶対に本来の場所に返り咲くことができると確信している。そして、その挽回により、我々は信用を取り戻し、スポンサーポートフォリオを再構築してくことができる」「2~3年かかるかもしれない。我々はチャンピオンシップで9位だ。トップエンジンがあれば、現在、我々は4位にいたと思うし、FOMのお金でエンジン面をカバーできるだろう。したがって、金銭面で大きなリスクはない。マクラーレンを傷つけることはなく、スポーツ的な選択ができる勇敢な株主のおかげだ。彼らは『ホンダが目覚めるまで待とうではないか』と言っていたかもしれない」本田技研工業のモータースポーツ部長の山本雅史氏は、マクラーレンの企業規模では変化への適応が難しいとの見解を述べていた。だが、両者のパートナーシップには初めからほころびがあったとエリック・ブーリエは考えている。 マクラーレンとホンダがうまくコミュニケーションを取ることができていなかったいうパドックの見解について「私はそうは思わない。実際、マクラーレンのストーリーを復活させるというアイデアは素晴らしかった」とエリック・ブーリエはコメント。「それよりも、プロジェクトを開始時のアプローチに問題があったと思う。開始時に異なる決断をしていれば、状況は完全に異なる展開になっていたかもしれない。だが、後から言うのは簡単なことだ」「私は9年間英国に住んでおり、文化の違いを感じ取れる。異なる文化を理解できようになり、私はホンダに大きく踏み込んだ。だが、英国では外国人の私は、ときには日本と英国の間の“平和主義者”だっとときもある。特定の風潮やホンダとマクラーレンの文化の差を橋渡しするという点でね。だが、正直、我々はすでに新しいパートナーと文化の相違について会議を行っていた。最高のパートナーシップにしていくために物事を容易にしようとするものだ」結果はでなかったものの、エリック・ブーリエはホンダとの決別するという決断は「非常に厳しかった」とエリック・ブーリエは語る。「彼らの全体ストーリーは過去のレガシーを再現することだった。それは我々も同じだ。理論的には全てが適切だったように思う。もちろん、やってきたことは適切ではなかったがね。幸いにも、我々は友好的な和解ができた。彼らは行ってきた全ての投資がどこかの段階で成果を挙げなければならないことを理解していた。我々は待つことはできない。だが、彼らは他の誰かと成果を挙げることができる」「彼が他チームにコミットし、F1を続けるという決断をしたことを本当に嬉しく思っている。個人的にうまくいかなかったことに少し悲しい気持ちはあるが、本当に激しい3年間だった」マクラーレンは、タイトル獲得のためには“ワークス”チームになることが必要だと考えてホンダとのパートナーシップを決断した。しかし、2018年からルノーの“カスタマー”チームとなる。そこは厳しい状況ではないかとの質問にエリック・ブーリエは「今、それを言うのは難しい。我々はルノーの“特権的なカスタマー”だ。エンストンやレッドブル・レーシングと同じエンジンを搭載し、同じ情報にアクセスできる」とコメント。「これはルノーとの本格的なパートナーシップだ。また、我々は将来のために検討するかもしれないアイデアを持っており、彼らと一緒に仕事をする可能性を秘めている。それは我々が将来に影響を与えることを可能にする。だが、そうだね、2018年の我々の状況はフルワークスチームとは異なる。しかし、それは学校のようなものだ。プラス面とマイネス面を検討しなければならない。我々は全てのプラスとメイナスを検討して決断を下した。我々は少なくとも今後3年間に関してはマクラーレンにとってベストな決断になると信じている」ルノーは、2018年から自身のワークスチーム、レッドブル、そして、マクラーレンと3チームにF1パワーユニットを供給する。だが、ルノーはワークスチームでトップに返り咲くことで3チームのなかで序列が発生するかもしれない。だが、エリック・ブーリエは「このような言い方をしてみよう。法的にも契約上でも我々は対等だ。だが、そうだね、寛大な心を持たなければならないときもあれば、偏りもあるかもしれない。だが、言ったように法的にも契約上では全ては同じように扱われる」とあくまで対等であることを主張した。ルノーとの契約を成立させたことで、残る最後のピースはフェルナンド・アロンソとの契約延長をまとめることにある。フェルナンド・アロンソを今回のルノーとのパッケージに一部として考えているかとの質問にエリック・ブーリエは「Yesでもあり、Noでも...
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