幻となったマノーの2017年F1マシン『MRT06』からチームが新レギュレーションに対応して進めていたデザインを読み取っていく。2017年F1マシンの完成間近でチーム消滅が決定したマノー。先週公開されたMRT06の風洞モデルは、新しい空力レギュレーションよるF1マシンの変化を垣間見ることができる。
フロントウィングは、レギュレーションが要求しているように上部から見てニュートラルセクションの先端から三角形になるように角度がついている。内側には“Y250ボルテックス”に対して作用する逆L字型のカスケードが追加されている。ノーズ形状は前モデルと類似しているが、ロングノーズではなく、ニュートラルセクションの出来る限り後方に位置しており、気流の改善を狙っていることが見て取れる。幅が1600mmに拡大するサイドポッドには大きなザクリが入れられ、側面にある整流板は、サイドポッドの形状に合わせて湾曲している。この形状はリアウィングの翼端板にも見られる。翼端板の間隔が下に向かって狭くなる形状は、昨年フェラーリがピレリのタイヤテストで走らせたミュールカーにも採用されていた。シャシーのリア部分は大きく絞り込まれ、マノーはメルセデスが過去3年間で採用した燃料電池とエンジン前面との間に水冷のエアクーラーを挟むことを決定したことが示されている。また、エレクトロニクスの一部は、マシン側面からの空力パフォーマンスを最大化するためにサイドポットからその隙間に移動することに決めていたと考えられる。そして、予想されていた通り、エンジンカバーにはシャークフィンが装着されている。2017年のF1マシンは、リアウィングが昨年の高さ950mm×幅750mmから高さ800mm×幅950mmと低くワイドになる。 この変更により、リアウィングは、フロントアスクルとサスペンションを抜けた空気によって発生する乱気流に苦しむことになり、その対応策として多くのチームがシャークフィンを復活させると見られている。※マシン名は未発表。海外メディアではMRT07と報道しており、実際の名称はMRT07となっていた可能性もある。