2020年のF1世界選手権を成立させるには最低でも8戦を開催する必要がある。だが、必要なのはレース数だけではない。新型コロナウイルスの世界的な大流行によって2020年のF1世界選手権は開幕から9戦が中止・延期となっており、それ以降のヨーロッパでのレースも予定通りに開催できない可能性が高い。
現在、F1はヨーロッパでのレースを無観客で開催し、さらに同じサーキットで複数のレースを開催することでレース数を稼ごうとしている。2020年のF1競技規則の5.4条では「選手権の競技会数は最多22戦、最少8戦とする」と記されている。だが、F1は世界選手権とされて分類されるためには、FIA(国際自動車連盟)の国際モータースポーツ競技規則で定義されているスケジュールに適合する必要がある。2.4.3.A 「FIAの名称が冠されている国際カップ、トロフィー、チャレンジ、またはシリーズ、およびそれらの競技は、それらに適用される規則で最低限、以下の要件を満たし、追加要件としてシーズン中、平均して少なくとも4つの自動車製造者の参加者が含まれていれば「ワールド」(世界)という文言(または、いかなる言語においても「ワールド」を意味するか、または「ワールド」から由来した文言)を唯一タイトルに付記できる。2.4.3.B.I 「カップ、トロフィー、チャレンジ、またはシリーズのカレンダーに含まれるイベントは同一シーズン中に、3つ以上の異なる大陸を開催場所としなければならない」この規制の例として、2019-20年の世界耐久選手権シーズンは、ヨーロッパ(シルバーストン)、アジア(富士、上海、バーレーン)、北米(COTA)でレースが行われたため、世界選手権と見なすことができる。フェラーリのF1チーム代表を務めるマッティア・ビノットは、シーズンが2021年1月まで伸び、レースの週末が2日間に短縮される“スーパーシーズン”が検討されていることを明らかにしている。F1チームはコストを削減するために2021年まで2020年のシャシーを使い続けることにすでに同意している。これにより、チームは新車を準備する時間を必要としないため、理論的には2021年シーズン全体を通常よりも短い冬休みで始めることができる。F1は2020年のF1世界選手権を“白紙化”することを決定しており、現状では当初のカレンダーのフランスGP(6月28日)、オーストリアGP(7月5日)、イギリスGP(7月19日)がまだ開催の可否を正式に発表していないシルバーストンの関係者は4月末までにF1イギリスGPの開催について決定すると述べている。UEFAユーロ2020(6月12日~7月12日)や東京オリンピック(7月24日~8月9日)といった夏の主要な国際スポーツイベントは、新型コロナウイルスのパンデミックの進行によってすでに延期されている。