F1とラスベガス当局が、ストリップ地区でのラスベガスGP開催契約を2032年、さらに場合によっては2037年まで延長する大規模アップデートについて協議を進めていることが分かった。地元では費用高騰、交通遮断、チケット需要の軟化など苦情が続いているものの、F1側は長期契約によってインフラ投資を正当化できる環境づくりを狙っている。
現地報道によれば、交渉の軸となっているのは5年または10年の契約延長案。これにより、過去2年に渡って問題視されてきた高額チケット、長期間の道路封鎖、地元ビジネスからの不満といった課題に対し、より安定した改善計画を描くことが可能になるという。ラスベガスGP社長エミリー・プレイザーはReview-Journalに対し、「不便をおかけしていることは理解しています。短期契約では大規模投資が難しいことが最初からの課題でした」と説明。そのうえで、長期契約が実現すれば照明設備をはじめとした恒久インフラ整備が可能になり、街への負担を大きく軽減できると語った。プレイザーは「毎年の設営は確実にスピードアップしている」と述べ、特に照明設備の恒久化が長期的に市への負担減につながると強調した。一方、Las Vegas Sunへの取材では、今年のレースウィークに関して1日あたり約10万人の観客を見込むとしており、メキシコ・カナダ・欧州からの関心が高まっているとも明かした。「国際観光をラスベガスに呼び戻す“目的地マーケティング”として、私たちは最前列にいると思っています」とコメントしている。ラスベガスは今年、訪問者数が250万人減少。国際観光客も13%以上の落ち込みが続く中、F1が都市経済に与える効果は限定的との指摘もある。しかしプレイザーによれば、今週のレースのチケット売上については前年を下回っておらず、複数の価格帯が売り切れ、需要は「昨年より大幅に前倒し」で推移しているという。地元の観光専門家は、F1による効果は短期的なものに留まる可能性を示唆する一方、Netflix効果によるアメリカでのF1人気拡大は依然追い風になると分析している。
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