元F1ドライバーのヘイッキ・コバライネンは、今週末のWRC日本ラリー(WRC2クラス)に参戦するにあたり、記者からカッレ・ロバンペラの話題を何度も振られたという。かつてF1で活躍し、その後GTレースを経てラリーに転向したコバライネンは、ラリー界からF1を目指すロバンペラの動きをどう見ているのか、国際ラリーメディア『Dirtfish』が質問をぶつけた。
「正直、驚きはなかった。ラリー関係者から彼がもう長くこの競技を続けないかもしれないと聞いていた。彼の情熱は別の場所にあるのかもしれない。すでに半年の休養を取っていたし、あの頃から情熱の炎が以前ほど強くないように見えていたんだ」とコバライネンは語った。彼はロバンペラの決断を完全に理解できるとし、「もし小さなカテゴリーに移ると言っていたら賛成しなかったが、F1のような“王者の舞台”を目指すなら、それは十分に大きな挑戦であり、夢としてもふさわしい」と語る。「それは十分に大きな挑戦であり、十分に大きな夢だ」とコバライネンは笑みを浮かべて答えた。さらに、身体的な面での違いにも言及し、冗談交じりにアドバイスを送る。「彼はもう少しジムに通わないとね。ラリーカーを運転するのは、ジュニアフォーミュラどころかF1カーと比べればはるかに楽だ。とはいえ彼は若いし、今後しっかり身体を作っていける」そして多くのファンや関係者が抱く「ロバンペラは本当にF1レベルに到達できるのか」という疑問についても見解を述べた。「彼はすでに多くのドライバーよりも高いスタートラインに立っている。しかもオジエやハミルトン、フェルスタッペンのような特別な才能を持っている。完全に確信しているわけではないが、現実的に可能性はある。もし誰かがそれを成し遂げられるとしたら、カッレだと思う。ほとんどの人には“やめておけ”と言うだろうけど、カッレには“挑戦する価値がある”と言いたい。そして、もしうまくいかなかったとしても、彼にはいつでもラリーに戻る道がある」コバライネンの発言が示す「リアルな評価」ヘイッキ・コバライネンのコメントは、ラリー出身者としての現実的な視点と、F1経験者としての厳しい目が交錯している。彼が「ジムに通え」と指摘したのは、F1のGフォースや首・肩への負荷がラリーとはまったく別次元であることを理解しているからだ。実際、F1への転向を目指すラリードライバーは過去にも例が少なく、その物理的適応こそが最大のハードルとなる。しかし一方で、「もし誰かがやれるならカッレだ」との言葉には、同じフィンランド出身の先輩としての期待と誇りがにじむ。コバライネンは2000年代後半、マクラーレンで優勝経験を持つ数少ない北欧出身F1ドライバーであり、その彼が“挑戦すべき”と背中を押した意味は重い。ロバンペラはすでにF2マシンのテストを行い、2026年にフォーミュラ転向を果たす予定だ。コバライネンの助言は、彼が次のステージに備えるための現実的な課題と、その先にある希望を象徴している。