桜井孝太郎が、9月22〜25日にイギリス、ドニントン・サーキットで開催されたイギリスF3選手権(第25〜27戦)に参戦し、第25戦でクラス優勝、今シーズン12勝目を獲得し、英国F3選手権の60年間に渡る歴史において、17歳87日という若さで史上最年少ルーキーチャンピオンに輝いた。今回の戦いの場となったドニントンパーク・サーキットは、1993年にF1ヨーロッパGPが開催され、雨の中、故アイルトン・セナ選手が1周目に驚異的な速さでライバルたちをごぼう抜きし、芸術的な勝利を飾ったことが、ファンの印象に強く残っているサーキット。イギ...
F3での事前練習走行が禁じられていたため、桜井孝太郎はレースウィークの月曜日に、一般車に交じって2座席レーシングカーでコースを習熟。チャンピオン獲得に万全の体制を期して、ドニントンパークでのレースに臨んだ。木曜日に実施されたフリー走行でほぼセットアップを煮詰めた桜井孝太郎は、土曜日の予選開始早々から総合2番手のタイムをマークする快走を見せ、その存在をアピール。とくに低速コーナーの続くセクション3では、チャンピオンクラスのケビン・マグヌッセンより速い区間タイムをマーク。パワー的なハンディや、ダンウフォース不足のハンディをものともしない勢いを見せた。しかし、コンディションが良くなってきた予選終盤、タイムアップを狙ってのアタック中、6速全開でコースオフし、激しくクラッシュ。ステアリングに装着してあるダッシュボードが外れて右太ももを直撃し、そのまま医務室に運ばれるアクシデントに見舞われた。チームの必死の作業によって、決勝までになんとかマシンの修復は間に合い、桜井孝太郎はドクターの許可を得て、痛みをこらえてのレース参戦となった。前戦までに桜井孝太郎が獲得したポイントは300点。2位のバート・ヘレキマ(214点)、3位のルカ・オルランディ(45点)を大きく引き離しており、このレースの結果次第では、ラスト5戦を残してタイトルが確定する。チャンピオンへのプレッシャーをバネにして、決勝レースへと臨んだ桜井孝太郎は、チームの期待どおりの走りを見せてクラス優勝&ファステストラップを獲得、今季12勝目をあげた。その結果、2011年度ブリティッシュF3選手権ルーキークラスのタイトルを掌中に収め、英国F3選手権60年間の歴史の中で、史上最年少、17歳87日でのタイトル獲得を達成。イギリスF3史上最年少での初優勝を記録したのが16歳と321日。偶然ではあるが、王座を決めた獲得ポイントも321ポイントでした。日曜日に開催された第26戦では、滑りやすいウェット路面のなか、年間総合王座を獲得しているフェリペ・ナッサー、総合ランキング3位のケビン・マグヌッセンを相手に堂々のバトルを展開。パワーに勝るチャンピオンクラスのマシンと互角に戦い、大きな注目を集めた。しかし、チームメイトを抜き去ろうとした際に接触してしまい、左フロントアームが歪曲、チームは安全性を重視し、無線で桜井孝太郎をピットに呼び込み、リタイアを決めた。続く第27戦は、スタート直前に雨が降り出す微妙なコンディション。スリックタイヤを装着してコースインした桜井孝太郎は、レインタイヤに交換するためにピットスタートを選び、交換していち早くピットロード出口に待機。その直後に半数近くのマシンがフォーメーションからそのままピットに戻ってタイヤ交換をするという波乱の幕開けとなった。作戦は上々で、多くのチャンピオンクラスのマシンを従えて強気のレースを展開していた桜井孝太郎だったが、直線でアクアプレーニングが発生してスピン。その場でレースを終えることとなった。不運なレースではあったが、チームは桜井孝太郎の雨中の激走を、インプレッシブだったと評価した。桜井孝太郎「無事チャンピオンを獲れたことは嬉しいし、支えてくれたチームに心から感謝したいです。レースは本当に長く感じました。そのせいかチェッカーをくぐった途端、人生で一番大きなため息をついた気がします。もちろんホッとした、良いため息です(笑)。ウィニングランはQueenの『We are the Champion』を熱唱して帰ってきました(笑)。晴れではチャンピオンクラスのマシンにダウンフォースの差で逃げられてしまいましたが、雨での戦闘力の高さは自分でもすごく印象に残っています。ただ戦闘力があったマシンセットだったのにも関わらず、それを最後まで使い切ってやれなかったことが非常に残念です。しかし今シーズンの締めくくりはシルバーストンです。この悔しさを最大限自分のバネにするつもりです。シルバーストンは今年の初めにGP3テストで走っているので、そこからどれだけ自分が成長したかを周りに見せる大きなチャンスだと思っています。笑顔でチームと共にシーズンをフィニッシュしたいと思います。チャンピオンとして、最終戦はシーズンのベストレースにして見せます。応援よろしくお願いします」