桜井孝太郎が、7月28〜30日にベルギー、スパ・フランコルシャン・サーキットで開催されたイギリスF3権(第19〜21戦)に参戦し、前戦のポールリカールに続き、ルーキークラスで再び3連勝を達成。シリーズチャンピオン争いでもポイントで首位に立った。ヨーロッパ・ラウンドの最終戦となったベルギー、スパ・フランコルシャン・サーキットは、ドライバーズ・サーキットとして名高い伝統あるサーキットのひとつ。
通常のグランプリサーキットが1周5キロ前後のところ、スパ・フランコルシャン・サーキットは1周が約7キロと圧倒的に長く、高低差も激しく、さらに山間部特有の、スパ・ウェザーと呼ばれる不安定な天候のおかげで、1周の間にウェット、ドライが混在したりする難しいサーキット。世界的にも有名な超高速コーナー、『オー・ルージュ』が大きな壁となってドライバーに立ちはだかる、世界有数のドライバーズ・サーキット。伝統のスパ24時間耐久レースと併催のため、チームは火曜日にイギリスを出発し、水曜日にピット設営、木曜日〜土曜日にイベントが開催される変則スケジュール。桜井孝太郎も、チームとともに初めてドーバー海峡を車で渡り、フランス、ベルギーとヨーロッパ大陸を車で移動して現地に入った。今回のイベントは、ユーロF3権を戦うチームが招待枠として参戦し、総勢27台でのレースとなった。マカオGP前哨戦として、ユーロF3チームとイギリスF3チームの初顔合わせでもある。水曜日に2時間かけてコースウォークを入念にこなし、木曜日のフリー走行を迎えた桜井孝太郎は、毎ラップ、着実にタイムを更新。マシンのセッティング的にも、まずまずの手応えで木曜日のフリー走行を終えた。金曜日は、予選、決勝第1レース、第2レースが一気に実施される慌ただしい変則スケジュール。体力的にも厳しい状況の中、不安定な天候での予選となった。途中、コンディションが悪化し、アクシデントが続出。赤旗中断となった段階で、コースはセミウェット。桜井孝太郎はスリックを主張したが、チームは安全策を取って、ウェットに交換してコースインさせた。しかし路面コンディションは桜井孝太郎が主張したとおり次第に回復し、早めにスリックタイヤを装着し、温め続けたマシンが次々とタイムアップ。逆に後半でスリックに交換したドライバーは温めきれずに後方グリッドに沈むという難しい結果となりました。桜井孝太郎は、そのままウェットタイヤでアタックし続け、チャンピオンクラスのチームメイトのマシンを凌ぐタイムをマークし、クラストップで予選を終えた。エンジニアのマルコいわく、「もし赤旗直後にスリックで出ていたら、孝太郎は6番手になれたかも知れないが、他のドライバーのようにクラッシュしたかも知れない...」と、判断に悩んだ予選だったが、桜井孝太郎は見事な仕事をこなした。第19戦、第20戦は、結果的にドライコンディションのレースとなり、チャンピオンクラスのマシンを相手に何周にも渡って粘り強くアタックを続け、どちらもクラス優勝で表彰台を獲得。翌日に開催された第21戦でもトップグループや中団グループのクラッシュやコースアウトのアクシデントを巧みに避けながら、着実に周回を重ねて無事ルーキークラス3連勝のチェッカーを受けた。今回の3連勝でポイントランキングではついにヘレキマを逆転してトップに浮上。シリーズチャンピオン獲得に向けて、いよいよ後半戦へと突入する。桜井孝太郎「スパ・フランコルシャンは僕の憧れのシューマッハがF1デビュー&初優勝を飾った歴史的なサーキットなので、毎日興奮していました。初日からスパ・ウェザーに歓迎されたウィークでしたが、その中でも自分自身、多くのことを得られたと思います。他のサーキットと違い、標高の高い山間に位置するサーキット、そして一周が7kmと非常に長いサーキットとして有名ですが、ドライバーの仕事、とくに”判断力”が戦略に大きく影響するサーキットです。F1のイギリスGPの時と同じ様に、コース半分はドライ、そしてもう半分が水浸しというコンディションが多々おきるサーキットなので、ちゅうちょしたり判断を誤ると、ダメです。予選でも難しいコンディションの中で、ここぞという時にアタックを決められたし、スタート前の難しいコンディションの中でもタイヤチョイスを自らおこなったし、たとえチームスタッフを含めて周りが頭を悩ましていても、自分自身は常に攻めの姿勢を保つ事が大事だと凄く感じました。まだまだ先は長いシーズンですが常に自分自身を追い込んで戦い抜いていきますので、応援よろしくお願いします」
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