小林可夢偉が、フォーミュラEへのスポット参戦について語った。小林可夢偉は、12月2日(土)・3日(日)にダブルヘッダーで開催されるフォーミュラE 2017/18シーズンの開幕2戦となる香港ePrixでMS&AD アンドレッティから初参戦する。日本人ドライバーがフォーミュラEに参戦するのは、初年度となる2014/15年シーズン開幕戦 北京ePrixに参戦した佐藤琢磨、最終戦イギリスePrixに参戦した山本左近以来3人目となる。
小林可夢偉は現在、WECとスーパーフォーミュラに参戦しているが、4シーズンにわたって76レースに参戦したF1世界選手権を含め、これまで様々なモーターレースを経験してきた。「フォーミュラEのチャンスを去年の終わりぐらいから模索していました」と小林可夢偉はコメント。「他チームとの話ですが、テストをする機会もあったものの日程が合わず実現しませんでした。今回、最後の最後にチャンスが巡ってきたたことに感謝しています」「テストができないままレースに行くのは厳しいですが、自分自身の経験を生かし、香港で良い結果を出してフォーミュラEの楽しさを実感して皆さんに伝えていけることができればと思ってます」小林可夢偉は、今年6月に開催されたフォーミュラEのドイツ・ベルリン大会を訪問し、関係者とコンタクトを取っていたと明かした。「実はフォーミュラEのオーガナイザーである(アレハンドロ)アガグとは仲がよくて、日本に来たときに『来てくれよ』と言われていましたが、これまでは現実的な話ではなかったんですが、ベルリン大会を見に行ったときに過去のチームメイトだったり、ライバルだったり、エンジニアだったりが関わっていて、同年代のレーサーがトップ争いをしているレースなんです」「WECはワークス同士の戦いですが、フォーミュラEはワークスがやってる部分もありますが、ドライバー自身としても魅力的で楽しい部分もあるかなと注目していました。今回そのチャンスをいただき、昔から知っている仲間たちと一緒に走れるのは楽しみです」フォーミュラEカーのスピードに関しては、小林可夢偉がこれまで経験しているカテゴリーほど高くはないとの意見もある。「乗ったドライバーに聞くと、みんな口を揃えて『400km/hぐらいに感じる』と言っています。システム的にもドライバーには難しく、コンピュータを使うともっとハイテクにできるのだけど、ドライバーに難しさが要求され、ドライバーが忙しいレースです。レース中の無線での交信がすごく大事で、ステアリングのスイッチの変更もすごく大事で、ちょっとしたことで、レースを完走できないぐらいに追い詰められる。時速は200km/hぐらいだけど、乗ったら400km/hに感じると聞いています」フォーミュラEは、大都市のストリートコースが売りでもある。「普段はレーシングカーが走らない市街地でレースをするので、道もボコボコ。そういう本当の市街地でやっているので難しさを感じると思います」「実際、このカテゴリーをドライバーとしてやることで、バッテリーについてのノウハウとか、クルマについての引き出しは増えると思います。そこでチャレンジできることは楽しみです。例えば、予選で200kWになったら、ニュータイヤでブレーキは奥になると普通は考える。でも、他のドライバーに聞くと、予選ではブレーキングポイントを10mは手前にしないと、止まれないと言われてます。そういう経験が引き出しになっていきます。ドライバーにとって、どんなクルマでも速く走ることが大事なので、そういうスキルを学びたいです」「クルマがイコールかと言われると、シーズン3~4に関してはイコールではないと思います。例えば、バッテリーの使い方が違う。あるチームはエネルギーの回生をマニュアルでしなければならなかったり、チームによって何もしなくてもいいチームもある。WECをやっていると『そんなこともやってないんだ』というレベルだったりします。僕としてはWECの経験を生せれば思っています」テストなしでのぶっつけ本番での参戦については「チャンスはチャンス。これまでもあまりたくさん準備して乗れたことはないので」と小林可夢偉は笑う。「1回乗って駄目だなと思われるかもしれないけど、良い結果を出してどこかからオファーがくるようにしなければと思っています」今回、小林可夢偉が加入するアンドレッティは、来シーズンからBMWワークスになる。小林可夢偉はトヨタのワークスドライバーという立場だが、そこは問題にならないと語る。「自分の場合は他のレースとの掛け持ちになりますが、今シーズンのオリジナルスケジュールはすべて終わっているし、香港に出ても影響はないということで、トヨタさんにもご了承をいただいています」「アンドレッティとの交渉というか、シーズン3が始まるころから、チャンスがないかなと。まずは、フォーミュラEは誰がやっているという状況だったので時間がかかりました。今年の夏前くらいに人の力を借りて模索してきて、なかなかテストしないと踏み出せないという状況だったのですが、最後の最後のチャンスがきました。たくさんの人の協力でここまでこれました」「簡単に言うと、トヨタとBMWは関係ありません。トヨタがなにかしたということではなく、僕個人が交渉しました」「アンドレッティというとアメリカのイメージしかなかくて、自分はアメリカのレースをしたことがないので、佐藤琢磨さんがインディで勝ったイメージしかないけど、チームはイギリスにベースがあるので、アンドレッティと言われてもピンとこなかったけど、実際にファクトリーに行ってみると、みんなイギリス人でイギリスのレーシングチームという印象です。レースウィークに入ると変わってくるかもしれないですけどね」「メカニックをやっているのは、(塚越)広大がF3のマノーで走っていたときのメカニックなんです。チームマネージャもダンディライアンでリチャード・ライアンがチャンピオンを獲ったときのエンジニアで、日本のモータースポーツ関係者からもそんなに遠くない世界のイメージですね」他のカテゴリーでは給油して1レースを戦うことが多いが、電気自動車のフォーミュラEはまだバッテリーが1レースもたないため、クルマの乗り換えが必要になる。マシンの乗り換えついて小林可夢偉は「正直、意外に簡単でした」と語る。「時間が決まっていて1分あるので、WECとかをやってると全然余裕でした。WECの場合、タイヤ交換しないと25秒程度でやらなければならない。それに比べれば、落ち着いてやれば大丈夫だと思います」フォーミュラEには独自のシステムとしてファンブース...