小林可夢偉が、0周リタイアに終わったF1イタリアGPの週末を振り返った。高速のモンツァ・サーキットは、決してザウバー C29に適したサーキットとは言えなかった。さらに金曜日はトラブルが多く、セッティングを煮詰めることができなかったと可夢偉は語る。「今週末は、金曜日に初めて低ドラッグのダウンフォースレベルで走ったんですけど、とにかく細かいトラブルが多すぎて車をまともにセッティング出来る状態じゃなかった」
「でも土曜日までにいろいろ変えて、朝のフリー走行3回目で、モンツァに来て初めてセットアップができた。セットアップもスムーズにいって1時間でそこまで仕上げられると思ってなかったんですけど、思ったよりも良い方向にいきましたね」予選はレースを意識してローダウンフォースのセッティングを選択した小林可夢偉。予選13番手は、マシンのポテンシャを最大限に引き出した結果といえる。「予選13番手は、とにかくいまの僕たちのクルマの状況とサーキットとの相性を考えたら、13番手は可能な限り一番いいリザルトだったと思います。前のシューマッハとはコンマ3以上あったので、さすがに全部まとめても上回るのは無理でした。実はレースで攻めるために、結構クルマのダウンフォースを削ってたんです。1周だけを考えるともう少しダウンフォースをつけてもいいんですけど、直線が遅くなると、前のクルマを抜くというよりも自分のポジションを守るという戦い方しかできない。それでは戦えないから、できるだけローダウンフォースで予選で前に行って、レースで戦えるクルマを作るのが今回の課題でした」しかし日曜日、可夢偉のマシンにはギアボックストラブルが生じて、ピットスタートを余儀なくされる。「決勝のグリッドに向かう前にレコノサンスラップを2周する予定でした。その1周目の最後に何か変だなと思いながらピットレーンを通過して、2周目に再びコースに戻ったら4速から上のギヤに入らなくなってました。それでゆっくり1周してガレージに戻りました」「みんななんとか直して、僕をレースに出そうと一生懸命いろいろ調べてたんです。そうしたら、変速のシグナルを送る電気信号がいつもよりも安定していないことが分かったんで、その信号を送るECU(電子制御ユニット)がおかしいのではとその場でECUを交換しました。そうしたら信号は通常に戻ったんですけど、その時点でギヤボックスがダメージを受けてしまってた。ただ実際どれくらのダメージを受けているのか分からないし、とにかくピットレーンからスタート してみたんですけどね」レースでは、一周も走り切ることなくリタイアした小林可夢偉。しかし、コースインした時点ですでにマシンには異変が起きていたという。「ピットから出て行くときに、音が変なままやったから、あ〜やっぱりあかんわってすぐに感じたんですけど。コースインしてもやっぱり4速から上のギヤがなかったから……。とにかく邪魔にならへん場所を探しながら走ってレズモの2個目で止めました」「レースペースには自信があったし、実際レースの展開をみてもバリチェロの前ではフィニッシュできていたと思う。だから悔しいですけど、まあドライバーズ選手権で彼を逆転するためにこれから5戦で毎回2点以上とればいいかなと。今週末は実際にポイントを獲ることはできなかったですけど、厳しいだろうなと思っていたサーキットでも、ポイントを狙える力があることがわかったのは収穫です。これから残り5戦、最後まで頑張ります」
全文を読む