2026年F1シーズンで議論を呼んでいるエネルギーマネジメント問題を受け、FIAとパワーユニットメーカーは日本GPに向けて予選ルールの緊急変更を決定した。予選での“全開アタック”が損なわれているとの懸念が高まる中、今回の措置は鈴鹿サーキット特有のエネルギー事情にも対応したものとなる。
予選のエネルギー回収量を8MJへ引き下げFIAと各メーカーの協議、およびシミュレーションの結果、日本GPの予選では1周あたりの回生エネルギー上限が従来の9MJから8MJへ引き下げられることが決まった。これにより、全体のエネルギー使用量は減少し最高速はやや低下する見込みだが、ドライバーが過度にエネルギー回収を意識する必要が減ると見られている。特に問題視されていたのが“スーパークリッピング”と呼ばれる現象で、フルスロットル状態から回生モードに切り替えることでバッテリーを充電する代わりに速度が落ちる挙動だ。今回の変更により、このスーパークリッピングの必要性は1周あたり最大で約4秒分削減されると見込まれている。FIAは声明で次のように説明した。「この調整は、予選を純粋なパフォーマンス勝負として維持する重要性を強調してきたドライバーやチームからのフィードバックを反映したものだ」「2026年レギュレーション下での最初の数戦は運用面では成功しており、今回の変更は実戦データをもとに最適化を進める通常のプロセスの一環である」「今後数週間にわたり、エネルギーマネジメントに関するさらなる議論を続けていく」鈴鹿は“エネルギー不足サーキット”今回の措置の背景には、鈴鹿サーキットの特性がある。鈴鹿は高速コーナーが連続するレイアウトで、強いブレーキングポイントが少ないためバッテリー回生が難しい“エネルギー不足型”のサーキットとされている。そのため、ドライバーはラップ中に意図的に速度を落として回生する必要があり、純粋なアタックラップの質が損なわれる懸念があった。マクラーレンのパフォーマンス担当テクニカルディレクター、マーク・テンプルは次のように述べた。「メルボルンに近い状況になると考えている」「鈴鹿は象徴的なコーナーを持つ非常にユニークなサーキットだが、エネルギー面では厳しいコースだ」「ターン1進入など、いくつかの区間ではエネルギー回収の影響が現れるだろう。シャシーやタイヤと同様に重要な最適化ポイントになる」また、ウィリアムズのチーフエンジニア、ポール・ウィリアムズも次のように指摘した。「鈴鹿では低燃料・高燃料の両方でスーパークリッピングの影響が大きくなると予想している」「高速で流れるようなコース特性によりコーナリング時間が短く、結果としてエネルギーマネジメントの負荷が高くなる」「そのため、リフト・アンド・コーストを使ってエネルギーを管理するチームも出てくるだろう」今回の措置はあくまで暫定的な対応であり、より抜本的な改善策はマイアミGP以降に向けて検討が進められている。
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