世界三大レースのひとつに数えられる伝統の一戦、インディアナポリス500マイルレース。その第109回大会が、かつてないほど多彩な顔ぶれとともに開幕を迎える。今年は過去の優勝者が8人も名を連ねる一方、ポールポジションにはインディ500初挑戦となるルーキー、ロバート・シュワルツマンが座るという波乱含みの構図だ。
栄光を知るベテランたちと、未来を担う若き才能たちがひしめくこの年、果たしてヴィクトリーレーンでミルクを掲げるのは誰か――その答えは、時速370kmを超える超高速決戦の先にある。戦う舞台は、全米最大の観客動員を誇る「ブリックヤード」。レース史に新たな1ページを刻む準備は整っている。最前列に新星と歴戦の強者たちが並ぶポールポジションからスタートするのは、インディ500初出場のロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)。練習走行では目立たなかったが、予選で見事なアタックを披露し、デビュー戦でいきなりのトップスタートを決めた。その隣には元F1ドライバーで2度のインディ500ウィナー、佐藤琢磨(RLLレーシング)。無観客開催となった2020年の優勝以来、再びフロントローから勝利を目指す。3番手には、過去3年間で2度の2位と1度のリタイアという悔しい経験をしてきたパト・オワード(アロー・マクラーレン)。悲願の初優勝に向け、今度こそ結果を出したい。注目の優勝候補たち優勝最有力と目されるのは、そのオワード。ブックメーカーでも最短のオッズが付いている。これを僅差で追うのが、今季好調のアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)だ。そのチームメイト、2008年の勝者スコット・ディクソンも侮れない存在。経験豊富であり、プラクティスでの速さもあり確実に上位争いに絡んでくるだろう。チーム・ペンスキーからは、スコット・マクラフリン、ジョセフ・ニューガーデン、ウィル・パワーの3名がエントリー。特にマクラフリンは、予選前にクラッシュを喫し10番手スタートながら、実力では上位に劣らない。一方でニューガーデンとパワーはそれぞれ32番手・33番手スタートとなり、1936年以来となる「28番手以下からの優勝」を目指すことになる。スターティンググリッド:2025年インディ5001列目1.ロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)2.佐藤琢磨(RLLレーシング)3.パト・オワード(アロー・マクラーレン)2列目4.スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)5.フェリックス・ローゼンクヴィスト(マイヤー・シャンク・レーシング)6.アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)3列目7.デイビッド・マルカス(AJフォイト・レーシング)8.クリスチャン・ルンガー(アロー・マクラーレン)9.マーカス・エリクソン(アンドレッティ・グローバル)4列目10.スコット・マクラフリン(チーム・ペンスキー)11.コナー・デイリー(フンコス・ホリンジャー・レーシング)12.アレクサンダー・ロッシ(エド・カーペンター・レーシング)5列目13.キフィン・シンプソン(チップ・ガナッシ・レーシング)14.エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)15.サンティノ・フェルッチ(AJフォイト・レーシング)6列目16.デブリン・デフランチェスコ(RLLレーシング)17.スティング・レイ・ロブ(フンコス・ホリンジャー・レーシング)18.クリスチャン・ラスムッセン(エド・カーペンター・レーシング)7列目19.カイル・ラーソン(アロー・マクラーレン/ヘンドリック)20.ルイス・フォスター(RLLレーシング)21.カラム・アイロット(プレマ・レーシング)8列目22.エリオ・カストロネベス(マイヤー・シャンク・レーシング)23.カイル・カークウッド(アンドレッティ・グローバル)24.ノーラン・シーゲル(アロー・マクラーレン)9列目25.ライアン・ハンターレイ(DRR・カジック・モータースポーツ)26.ジャック・ハーヴィー(DRR・カジック・モータースポーツ)27.コルトン・ハータ(アンドレッティ・グローバル)10列目28.グレアム・レイホール(RLLレーシング)29.マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・グローバル/カーブ・アガジャニアン)30.マーカス・アームストロング(マイヤー・シャンク・レーシング)11列目31.リヌス・ヴィーケイ(デイル・コイン・レーシング)32.ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)33.ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)記録とデータで見るインディ500■ 今年のポールポジション獲得者ロバート・シュワルツマンは、1983年のテオ・ファビ以来となるルーキーPP達成。#83の車両がポールを取ったのも史上初。■ イスラエル生まれのドライバーがインディ500に出場するのは今回が初めて。プレマ・レーシングもインディカー参戦初年での快挙となった。■ 今年のルーキーはシュワルツマンのほか、ノーラン・シーゲルとルイス・フォスターの3人。■ 最多優勝記録保持者はエリオ・カストロネベス(4勝)。今大会で25度目の出場となるベテランだ。■ 最年長出場はカストロネベス(50歳)、最年少はノーラン・シーゲル(20歳)。若手が勝てば、1952年の最年少優勝記録(22歳)を塗り替える可能性がある。■ インディ500での最多周回リードはスコット・ディクソン(677周)。にもかかわらず、優勝は2008年の1度だけという“報われない王者”として知られる。レース情報(日本時間)・開催日:2025年5月26日(月)・スタート時刻:午前3時45分(AEST)・ライブ配信:Stan Sport(午前0時~)・ドライバー紹介:午前1時47分・米国国歌:午前2時24分・「Back Home in Indiana」:午前2時36分・エンジン始動指令:午前2時38分