F1ハンガリーGPの決勝は、スタート直後の1コーナーで起きたクラッシュによってレッドブル・レーシング・ホンダにとっては厳しい展開になったものの、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダが2台揃ってトップ7入りを果たした。レース開始の約30分前に雨が降り出し、全車がインターミディエイトタイヤを装着してのスタートとなった。2列目のマックス・フェルスタッペン、セルジオ・ペレスは、ともに素晴らしいスタートを決めて、ターン1で2番手と3番手に浮上。
しかし、出遅れたバルテリ・ボッタス(メルセデス)がランド・ノリス(マクラーレン)の後部に追突し、押し出されたノリスがフェルスタッペンに衝突。さらに、ボッタスはペレスに追突し、ペレスはリタイアに追い込まれる。フェルスタッペンも大きなダメージを受け、ピットへ戻って修復作業を行うが、これによって順位を大きく落とす。その後、複数のマシンから落ちたデブリを清掃するため、レースは赤旗中断となった。ピエール・ガスリーも、このインシデントを避けるためにコースを大きく外れてポジションダウン。一方、16番手スタートの角田裕毅は、混乱を上手く避けて5番手までポジションを上げた。赤旗中断の時間を利用して、レッドブル・レーシング・ホンダは懸命の修復作業を行うが、多くの空力パーツがなく、見た目にもダメージが残ることがはっきりと分かる状態でレース再開となった。レースはスタンディングスタートで再開されたが、路面が急速に乾いていたことから、ルイス・ハミルトン(メルセデス)を除く全車がフォーメーションラップを終えるとピットへ向かい、ミディアムタイヤに交換。ハミルトンはリスタート後にピットインしたために最後尾となり、角田が4番手、フェルスタッペンとガスリーが11-12番手となった。オーバーテイクが難しいコースの特性に加え、ダメージの残るマシンを駆るフェルスタッペンだったが、前を行くミック・シューマッハ(ハース)を交わしてポジションを上げる。その後方のガスリーは、迫ってくるハミルトンを抑えつつ、シューマッハをオーバーテイクしてポジションを上げる素晴らしい走りを見せた。20周目、ハミルトンのピットインに対応すべく、レッドブルもフェルスタッペンをピットへ入れてハードタイヤに交換。しかし、ダメージの影響もあって先行を許してしまう。角田は前を行くニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)を交わすために、22周目にピットインしてアンダーカットを成功させたが、さらに上位のマシンには差を広げられる展開となった。ガスリーは30周目にピットインして8番手でレースに復帰したが、フェルスタッペンはポイント圏外から浮上できずに停滞する。レッドブルは40周目に2度目のピットインを行い、フレッシュなタイヤでの追い上げを目指す。ガスリーはピットストップ後のペースもよく、ターン1でラティフィをオーバーテイク。7番手まで順位を回復すると、角田の背後に迫り、チームはよりフレッシュなタイヤのガスリーを先行させる。50周目に、フェルスタッペンはキミ・ライコネン(アルファロメオ)をオーバーテイクして11番手にポジションアップ。さらに、残り10周となったところで、ダニエル・リカルド(マクラーレン)も交わし、ポイント圏内に復帰。10位でフィニッシュして1ポイントを持ち帰った。レース終盤、7番手走行中の角田がターン2でスピンを喫するが、順位に変動はなくコース復帰を果たす。これで角田との差が大きくなったガスリーは、69周目にピットインしてソフトタイヤに交換。ファイナルラップでファステストラップを記録し、1ポイントを追加した。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダは6-7位でチェッカーフラッグを受けた。ハンガリーGPを終えて、F1は3週間のサマーブレイクに突入。後半戦は12戦が予定されており、8月29日(日)決勝のベルギーGPからの3連戦でシーズンが再開する。田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)「今日のハンガリーGP決勝は、レッドブル・レーシング・ホンダにとって、先日のイギリスGPに続き他車とのクラッシュが原因で非常にフラストレーションが溜まる結果となりました。スタート直後の1コーナーで発生した多重クラッシュに巻き込まれたペレス選手のマシンはダメージが余りに大きくそのままリタイア、フェルスタッペン選手も車体に大きなダメージを負いました。赤旗中断の間にメカニックが懸命な修復作業を行い、フェルスタッペン選手が傷ついたマシンで懸命にプッシュして10位に入賞し、チームにとって大切な1ポイントを獲得できたことが唯一の救いです。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダの2台は、上手くクラッシュによる混乱を回避すると、その後のレースを粘り強く走り、ガスリー選手が6位、角田選手が自身2度目となる7位に入賞しました。コンストラクターズチャンピオンシップでのポジションは落としてしまったものの、後半戦も激戦が予想される中で、中段グループを争うチームにとって貴重なポイントを2人のドライバーともに持ち帰ることができました。ここからF1はサマーブレイクを挟み、8月の末からの後半戦に向かいます。前半戦をいい形で締めくくることができなかったことは残念ですが、しっかりと前半戦の反省を行い、また心身のリフレッシュをしてブレイク明けの闘いに備えたいと思います。最後に、初優勝を果たしたオコン選手、またチームとしての初優勝を獲得したアルピーヌに祝福の言葉を贈りたいと思います」ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)「正直に言って、今日のレースをどう考えればいいのかよく分かりません。5番手からスタートし、そこが今日の望みうるベストの順位だと思いますが、1コーナーでのインシデントに引っかかり、大きく順位を落としてからの6位入賞です。様々な波乱のあったレースで、このポジションでフィニッシュできたのはいいことですが、もっと上位に行けたことも事実だと思います。予選ではトップチームに次ぐ“ベスト・オブ・ザ・レスト”の位置につけて、マシンには満足していたので、今週末は多くのポジティブな点がありましたが、チャンピオンシップを考えると、(中団のライバルに比べて)多くのポイントを失ってしまったことは残念です。ただ、今日の状況から考えると、できうる限りの結果は残せたと思います。エステバン(オコン/アルピーヌ)には心から祝福を送ります。彼らは戦略面で正しい判断をしたことで素晴らしい勝利を挙げました」角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)「1周目を終えて5番手にポジションを上げられたことには満足しています。今週末はずっとマシンに苦...