2020年のF1世界選手権の最後のレースウイークとなる金曜日。ホンダのF1エンジンを搭載するレッドブル・レーシングとアルファタウリ・ホンダの両チームは、開催となったヤス・マリーナ・サーキットで初日から力強さを見せた。日が高い時間に行われたFP1では、レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンがソフトタイヤでトップタイムをマークした。
同じくソフトタイヤで走行していたレッドブル・レーシングのアレクサンダー・アルボンはターン12でスピンなどもあったが、4番手となった。ミディアムコンパウンドでの走行に集中したアルファタウリ・ホンダの2台は、ダニール・クビアトが8番手、ピエール・ガスリーが9番手と両マシンがわずか0.01秒差で10番手以内のタイムをマークした。日曜日のレース開始時間と同時刻に行われたFP2では、ベストラップがトラックリミットを出たことににより抹消となってしまったが、フェルスタッペンが3番手タイムをマーク。またセッション序盤に同様の理由でタイム抹消となったアルボンは4番手となり、FP2もセッション上位をマークする走りを見せた。中団の僅差の争いを象徴するかのように、アルファタウリ・ホンダの2台はクビアトがトップ5からわずか0.15秒差で11番手、ガスリーは13番手となった。レースシミュレーションを行っていたFP2終盤、ライコネン(アルファロメオ)の火災事故で赤旗となったが、その前に2台ともレースウイークの準備に向けて十分なマイレージを走ることができた。田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)「今日のシーズン最終戦初日は、2チーム・4台ともに大きなトラブルはなく、スムーズな1日となりました。ここは比較的オーバーテイクが難しいサーキットですので、明日の予選でいいポジションの確保が重要となります。また、明日の予選および日曜のレースは17時開始となるため、同時刻に行われた今日のFP2のデータが特に重要になってきます。今シーズン最後となる明日の予選に向けて、今晩十分にFP1とFP2のデータを解析してセッティングの最適化を図っていきます」マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)「今日はまずまずの1日でしたが、メルセデスは今回も速そうなので、彼らとの差を詰めていくためにさらに作業が必要だと思います。ただ、ソフトタイヤでの走行についてはロングランを走るペレスの後ろについてしまい、ベストなタイムを出せ たわけではないので、今日の結果が僕のベストタイムというわけでもありません。今晩のブリーフィングでほかのドライバーたちがトラックリミットについてどんなコメントをするか聞いてみないと分かりませんが、通常は金曜の走行でどこまでトラ ックを攻めていけるのかについて感触をつかんでいきます。予選ではもちろんワイドにはみ出すことはできないので、もっと気を配って走りますが、明日はトラックリミットがそんなに大きな問題になるとは思っていません。ソフトタイヤの感触はい いので予選は問題なく戦えると思いますし、明日の予選後のプレスカンファレンスでどの椅子に座れるのか楽しみにしています!」アレクサンダー・アルボン(レッドブル・レーシング)「今日はいつもの金曜日と同様に、通常のプログラムを消化しながらタイヤの稼働領域を探っていくといった作業を進めていきました。全体としてはいい1日だったと思っています。ソフトタイヤについては、どうやったらうまく機能させていける かもう少し詳しく分析する必要がありますが、ミディアムの感触はよかったと思います。まだプラクティスの状況ですので、メルセデスがどの程度の実力なのかはよく分かりません。自分たちがやるべきることにフォーカスし、できる限り詳細まです べてを確認したうえで、明日の予選の前に臨めればと思っています」ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)「今日は多くの周回を走行し、マシンについて理解を深めることができました。ただ、すべてに満足しているわけではないので、今晩さらに作業を進め、明日に向けて何ができるかを確認していきます。例年通りFP1とFP2のセッションのコンディショ ンは大きく違っており、FP2の方が予選と決勝と同じ時間帯で行われました。その部分を分析し、明日に向けてもう少しタイムを上げていければと思っています」ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)「0.15秒の中に6-7台が入っている今日の結果を見ると、今週は本当に僅差の戦いになると思います。中団の戦いはとてもタイトですので、予選とレースはおもしろい展開になると思います。トータルではマシンには満足しています。セッションの最後の数周でオプションタイヤでの周回を重ねた際には、いい感触を得られたので、明日はいい戦いができると思っています。いくつか解決しなければいけない問題はあるのでそれを今晩の作業 で対応し、あとコンマ数秒タイムを上げて明日は中団のライバルの前に出られればと考えています」