ホンダF1のマネージングディレクターを務める山本雅史は、F1撤退の理由と矛盾しているように思えるインディカーとの契約延長の理由を説明した。先週、ホンダは2025年までにカーボンニュートラルを実現するために、バッテリーと電気自動車の製造に焦点を合わせるためとして、2021年シーズン限りでF1から撤退することを発表した。
しかし、その24時間後、インディカーのエンジン供給プログラムを運営する米国と拠点とするホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)は、少なくとも2030年までインディカー活動を継続することを発表した。インディカーはまだハイブリッドエンジンを使用していないが、2023年に導入を予定している。ニュルブルクリンクで開催されたF1アイフェルGPに出席した山本雅史は、ホンダのF1撤退は“難しい決断だった”と語った。「我々は将来のカーボンニュートラルプロジェクトに取り組むことを決定しなければなりませんでした」山本雅史は、エンジニアを他のプロジェクトに異動させる必要があるため、F1プロジェクトは中止されたと語った。「我々はカーボンニュートラルの要件が急速に近づく前に、F1と我々が行っている作業の両方を追求することも検討しました。最終的に将来のパワーユニットなどの作業のためにトップエンジニアをシフトすることが決定が下されされ、残念ながら、その結果としてF1を続けることができませんでした」山本雅史は、インディカープロジェクトを継続するというHPDの決定は、ホンダがF1を撤退する動きとは関係のない部分で行われた決定だと語る。「インディカーに関する我々の仕事は、アメリカ国内のホンダの独立した部分であるHPDによって運営されています」と山本雅史は語った。ホンダのF1プロジェクトは、さくら市とミルトンキーンズの2つの施設間で運営されている。日本を拠点とするエンジニアは、米国のエンジニアとは異なり、F1プロジェクトからカーボンニュートラルのためのプロジェクトに移動する必要がある。「この場合、研究開発スタッフの多くは日本を拠点としているため、今後の作業のために、日本で働いていたエンジニアを割り当てる必要がありました」と山本雅史は語った。F1は、ホンダの計画目標をはるかに上回る2030年までにカーボンニュートラルを実現するという計画を発表している。それはホンダの目標となぜ両立しないのかと質問された山本雅史は、ホンダとF1は“どちらも同じ方向に進んでいる”とした上で次のように語った。「しかし、ホンダは世界中に自動車製品、バイク、汎用製品の顧客を抱えているため、トップエンジニアを早い段階で将来のカーボンニュートラルプロジェクトに取り組む必要がありました」