ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、2020年のF1世界選手権 第9戦 F1トスカーナGPの決勝を振り返るとともに、前戦F1イタリアGPから導入されたICEモードの規制について語った。F1トスカーナGPでホンダF1エンジン勢は、レッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンがF1初表彰台となる3位、アルファタウリ・ホンダのダニール・クビアトが7位入賞を果たした一方で、マックス・フェルスタッペンはスタートでPUトラブルが発生したことが原因となる接触でピエール・ガスリーとともにリタイアとなった。
「まずは自身初の3位を獲得したアルボン選手におめでとうと言いたいと思います」と田辺豊治はF1トスカーナGP終了後の記者会見で語った。「一方で2週連続でPUのトラブルが発生しました。マックス選手はPUのトラブルからポジションを落としたところでクラッシュに巻き込まれてリタイヤ。そのときにガスリー選手もリタイヤということで1周目にして2台を失う形になりました」「クビアト選手は12番目からスタートして、クラッシュ、トラブルが多発したレースを最後まで走りきって7位入賞しました。ここのところ、両チームの中で調子が悪いと思っていたアルボン選手、クビアト選手がそれぞれきっちりとポイントを獲得しました。とくにアルボン選手は表彰台。チーム、担当エンジニア、当然ドライバーののモチベーションという面で後半戦に向けてよいレースだったかなと思います」「マックス選手のトラブルに関しては日本で調べ始めていますが、徹底的に解析して、後半戦に一切持ち込むことのないように対応して臨みたいと思っています」マックス・フェルスタッペンは、レース後、PUトラブルはモンツァで発生したものと同じだと考えていると語っていた。その件について田辺豊治は「似たようなものといえばそうです。ただ、原因は違うのではないかと思っています。エンジンが不調に陥ったという意味では同じですけどね」と語った。その後、前戦F1イタリアGPで導入されたF1エンジンの“シングルモード”、いわゆる予選モードの禁止についての質問へと移った。これまでと異なり、予選と決勝では同一のICEモードを使用することが義務付けられている。メルセデスとのパフォーマンス差に何らかの影響があったかと質問された田辺豊治「正直言って、分かりません」とコメント。「前回のモンツァが超高速コース、今回はそれなりにダウンフォースのついた高速コースとはいえ連続した高速コーナーがあるコース。PUの差、車体の差を足し算してパッケージとしての差が出てきます。同じサーキットで比較できれば多少は分かるような気がするのですが、もう少しやってみてこれからいろいろと考えていきたいと思います」「現在、近づいたのか離れたは私としては答えは出せていない状況です」次戦は昨年ホンダ勢が苦戦したるソチ・オートドロームでのF1ロシアGPとなる。ソチの対策について「当然、年間を通して弱いところを解析して強くする、強いところをさらに伸ばすという開発をしています」と語った。