緊張感につつまれながら最後まで激しいレースが展開されたF1アメリカGPでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが表彰台、そしてチームメートのアレクサンダー・アルボンがポイントを獲得し、ホンダ パワーユニット勢にとって実りある一戦となった。マックス・フェルスタッペンはスタート直後に1コーナーでアウト側からセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)をオーバーテイクすることに成功し、その後トップを走行していたバルテッリ・ボッタス(メルセデス)に近づく速さで最初のスティントを走行した。
13周目でピットインしハードタイヤに履き替え、1周後にピットインしたトップのボッタスとの距離をさらに縮めたが、オーバーテイクは叶わなかった。対照的に、難しいスタートを切ることとなったのはアレクサンダー・アルボンでした。1周目の1コーナーでシャルル・ルクレール(フェラーリ)とカルロス・サインツ(マクラーレン)の間に挟まれるかたちとなったアルボンは、軽い接触によるマシンのダメージ修復のためすぐにピットストップを行わなければならなかった。トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーは2台のマクラーレンのマシンの間を割って7番手を走行していたが、1回目のピットストップではサインツの後ろにポジションを落として、コース上に復帰することになった。一方、ハードタイヤでスタートしたダニール・クビアトは、ピットストップに時間を要したため、遅れを取ってしまった。最初の思わぬピットストップでミディアムタイヤに変更したアルボンは、22周目に再びピットインを行い同じコンパウンドのタイヤに履き替え再びコース上へ復帰。数々のオーバーテイクを繰り広げ、10番手からスタートし最終ラップでは5番手まで順位を上げた。マックス・フェルスタッペンは34周目に2度目のピットインを行いミディアムタイヤへ変更した後、ボッタスも1周遅れて同タイヤへ変更。フェルスタッペンはその後前方のルイス・ハミルトン(メルセデス)への追撃を試みた。2台の間は僅差だったが、残り2周と迫った時ターン12でハミルトンをオーバーテイクしようとしたフェルスタッペンでしたがイエローフラッグに妨げられ、3位でチェッカーを受けた。ピエール・ガスリーは1ストップ戦略が功を奏しポイント獲得が見えていたが、 セルジオ・ペレス(レーシングポイント)との接触によりサスペンションにトラブルが発生したため終盤でリタイアを余儀なくされてしまった。クビアトは残り17周でソフトタイヤへ変更し、10番手でチェッカーを受けた。しかし接触のペナルティーによりレース後5秒加算されたため、結果は12位となった。田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)「今日のレースではAston Martin Red Bull Racingのフェルスタッペン選手が確実な走りを見せ、予選ポジションをキープするかたちで3位表彰台を獲得しました。ラスト2周で出たイエローフラッグがなければ2位のポジションも見えていただけに、悔しい部分もありますが、週末を通して安定した速さを見せられていたと思います。また、チームメートのアルボン選手もスタート時の残念な接触により最後尾まで順位を落としながらも5位まで順位をばん回する力強い走りを見せてくれました。Red Bull Toro Rosso Hondaについてはガスリー選手が終始ポイント圏内を走行していたものの、惜しくも最後に2台ともポイントを逃すことになり残念に思っています。今回のレースでシリーズチャンピオンを獲得したハミルトン選手にお祝いの言葉を贈ります」マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ/3位)「僕たちにとってはポジティブな週末で、3位でフィニッシュできたことをうれしく思っています。最後の数周でのイエローフラッグによって不利を被った部分があり、あればがなければ2位でフィニッシュできたと思っています。レース後に、フロアの一部が大きくダメージを受けていたことに気づいたのですが、それがなければライバルに対してもっと戦えていたのではないかと思うと残念です。いいスタートを決めてそのあとはボッタス選手についていこうとしましたが、彼らの方が全体的にペースがよかったようですし、マシンのダメージも考慮すると最終的に5秒差でフィニッシュできたことはいい結果でした。2ストップ作戦は正しい選択で、これが最速だと思うので、これ以外のストラテジーは考えられなかったと思います。ここのところ、いいかたちで前進ができていますし、またライバルとの争いに戻ることができたのではないでしょうか。ここからも難しい戦いになりますが、あきらめることはありません。ハミルトン選手の6度目の戴冠はとてもすばらしいと思います。コンスタントに実力を出し続ける必要がありますし、この実績は彼の実力通りのものだと感じています」アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ/5位)「今日は自身のベストを尽くすかたちで5位でフィニッシュし、僕にとって初めてのアメリカでの最終日を楽しむことができました。スタートはよかっただけに1コーナーでの接触には少しフラストレーションを感じました。もう一度確認する必要はありますが、両側を挟まれて明らかに行き場のないかたちだったので、難しい状況でした。だれの責任でもないと思いますし、これもレースの一つですが、結果的には縁石に乗り上げてフロアとフロントウイングにダメージを負いました。そこでピットインしなくてはならず、多くの時間を失ったためにいろいろな部分を妥協せざるを得なくてはなりませんでした。そうでなければ、ルクレール選手と4位を争うことができたかもしれないと思っています。普通のレースではなくなってしまいましたが、それでも最後尾から追い上げるかたちでオーバーテイクをいくつも決めることができたので楽しいレースでした。フロアのダメージとセーフティカーが出なかったことを考えると、いいかたちでポジションのばん回ができたと思っています」ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ/12位)「今日は難しいレースでした。ライバルたちと比べると、あまりいいペースとは言えなかったと思います。通常のレース時よりもタイヤの摩耗が大きかったので、原因がなにかを追求しなくてはなりません。しかし、問題がありながらも、最後は10番手でレースを終えられたことはポジティブに捉えています。少し荒々しかったかもしれませんがフェアなバトルであったはずですし、皆が観たいレースバトルであったと思います。今シーズン同じようなバトルを見せた他の選手がペナルティーを受けていなかったので、今回のペナルティーは納得のいかない結果となりました。モータースポーツにおいて必要なペナルティーではなか...
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