ホンダF1のテクニカルディレクター(TD)を務める田辺豊治が、10月11日(金)に鈴鹿サーキットで行われたF1日本GP初日のフリー走行後にメディアのインタビューに答えた。F1日本GPのフリー走行1回目の開始後すぐ、FIAは台風19号の接近を考慮して土曜日の全セッションの中止を決定。それにより、各チームは予選と決勝の準備を金曜日に前倒しで進めることになった。
「FP1の途中に台風の接近により明日は我々も立ち入れないという判断が下されました。これにより日曜日に予選とレースを行なうことになったため、今日の練習走行では予選と決勝に向けたセットを出すことになりました」と田辺豊治はコメント。「午前中のFP1では路面がよくなかったのであまり多くの車両が走らなりませんでしたが、FP2では多くの車両が周回を重ねていました。レッドブルの2台に関しては、FP1ではバランスがあまり良くなかったが、FP2に向けて改善ができました。それでも、まだ両ドライバーとも満足していないと言っており、レースに向けて改善していきます。トロロッソに関しては2台ともFP1はあまりよくなかったですが、FP2で改善してきました。引き続きレースに向けて改善して臨みます」「また、FP1では山本尚貴選手がドライブしました。彼は今回のレースで初めてのF1マシンに乗るのを公式セッションという難しい状況の中で、レッドブルからもトロロッソからもよかったと評価さていました。きちんと走ってくれて、パワーユニットへのフィードバックも満足いく結果でした。ホンダにとってのホームレースで、ホンダのトップカテゴリーのドライバーが乗ることは若いドライバーにとっても大きな意味があったと考えています」「今回は全車がスペック4を使用しており、昨日説明したエクソンモービルの新しい燃料を投入しています。今のところ大きな問題は発生しておらず、今後も最適化を図っていきます」エクソンモービルの新燃料の投入について田辺豊治は「エンジンの燃焼に合うようなかたちで開発され、パワーアップを果たしていることを確認しました。今回、耐久性に関しても問題がないことを確認できました。リスクは基本的にないと判断しており、実際に問題なく走れています」とコメント。山本尚貴のパワーユニットについてのフィードバックについては「ドライバビリティやパワーデリバリー関連などになりますが、実はまだゆっくり話できていないので、この後ゆっくり話しましょうということになっています」と述べた。フリー走行2回目では、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが、トップから0.281秒差の3番手タイムを記録した。予想よりも手応えを感じているかと質問された田辺豊治は「まだ初日なのでわかりません。でも、今回は今日しかないですね・・・。ドライバーたちがクルマに納得していない部分があるので、日曜日の予選に向けてセットアップを進めていきたいです。基本的には想定されていたことを順調にやっている状況ですね」とコメント。FP1の時点で土曜日のFP3がなくなったことが判明したことで、優先順位をつけてプログラムを実施したと田辺豊治は説明。また、FP1で山本尚貴がマシンに乗ったことでピエール・ガスリーのプログラムに影響はあったかと質問がなされた。「FP2でやる予定だった要素にFP3でやる予定だった要素を足して、その中で優先順位をつけました。低いものを省き、セッションの終盤に雨が降るかもしれないということがあったので、優先順位が高いものから実行していきました」と田辺豊治はコメント。「ガスリー選手に関して言うと、山本選手がしっかりフィードバックをしていたこともあり、それほど影響がなかったと思います。出だしでそれなりのクルマができていれば、パッといけるし、結果的にもタイムを出していた。しわ寄せがネガティブな方にきたということはないと思います」土曜日の作業については「まだ決まっていない」と語る。「ここ(サーキット)に来ることはできないですが、明日も仕事をすることになると思います、復習と予習ですね。この後、FIAがチームとのミーティングの中でカーフューや今日の作業は何時までに終わらせるべきなのかなどを決めると聞いているので、それを聞いてから決めることになります。それによってサクラやミルトンキーンズも動きを決めることになります」「走行データなどは基本的にはサクラに行っているので、ホテルでそれを見ることはできます。通信速度の問題はありますけどね」「一番重要なことは、せっかく日本のファンの皆さんが楽しみにして来てくださっているのに、土曜日に走れないということを申し訳なく思っています。自分がファンであれば、楽しみにして来ているだろうから、本当にがっかりすると思います。また、ホンダとしても地元レースで普通にセッションをこなせることを望んでいたのでがっかりしています」日曜日にワンデー開催になることについては「予選が終わってから全くトラブルがなければ何も影響はないです」とコメント。「もちろんトラブルがないことを想定していますが、通常であれば予選でなにかトラブルがあっても、一晩時間があるので対処可能ですが、ワンデーレースではそれがないので時間が無い状況になるのがリスクと言えます」マクラーレンと組んでいた頃と比べてホンダの違いを実感することはあるかとの質問には「私が担当するようになった去年もトロロッソのユニフォームを着ているファンがたくさんいるとチームの関係者がびっくりしていました」とコメント。「彼らの本拠地であるイタリアでもこんなことはないと来ています。驚きと同時にうれしさを感じました。今年もまわりの人からレッドブルのユニフォームを着ているファンの方が増えたと聞いています。そのように期待値が高まると、一方でその裏返しとしてプレッシャーが高まってきます。ただ、プレッシャーはもっと頑張る燃料になっています」地元グランプリには会社の偉い人が来場するなど大変ではないかとの質問には「私は技術側の人間なので特に大丈夫です」と笑う。「このような囲み会見も普段は数名の方とやっているだけですが、今回の日本GPではこんなに多数の方に来ていただいて、質問に答えさせていただいている。また、ホンダのトップが来てくれたりすることはそれだけF1に注意してくれているということであり、現場の担当者としてはうれしいことであり、励みになります」
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