ホンダにとってホームグランプリとなる日本GP。30回目の記念大会となった今回は、前週のロシアGPからの連戦となった。ドライバー2人とトロロッソのチーム代表フランツ・トストは、火曜(10/2)の到着直後からホンダのファクトリーを訪問。ホンダ F1の拠点であるHRD Sakuraや、量産車の開発拠点である栃木研究所、鈴鹿製作所など、木曜までの2日半で計5拠点を訪れた。非常に忙しい日程になったものの、多くのホンダの従業員らから熱烈な歓迎と声援を受けるかたちとなった。
ホームレースとなるホンダのメンバーはもちろん、トロロッソチームのスタッフと2人のドライバーも、この特別なグランプリに強い意欲を示し、チーム一丸となって鈴鹿での戦いに挑んだ。ホンダは、前戦ロシアGPで投入し、いくつかの課題が見えてきた新仕様のパワーユニット(PU)を、さらなる調整を進めた上で日本GPに投入。ロシアGP初日のフリー走行後、PUの調整にすぐさま取り掛かったかたちだが、ロシアGPと日本GPは連続週で開催されるため、インターバルはわずか1週間しかない。「ロシアで入れて、初日走らせて下ろしましたが、これはある程度想定していたことです。ドライバビリティなど、トラックサイドでやるべきチューニング項目が多岐にわたるということが実際に走らせてみて分かり、このまま走らせるより、以前のスペックの方が(ロシアGPでの)パフォーマンスは、ドライバビリティ含め向上できるという判断でした。問題が出たわけではないのですが、最後の詰めを完全にはやり切れない部分があったので、すぐにHRD SakuraとHRD MKでテストに取り掛かり、短い時間で効果的に調整ができました」とホンダ F1副テクニカルディレクターの本橋正充は語る。実際に走らせてみないと分からないこと、PU調整の難しさを具体的に聞いてみると「やはりF1ですから、セッティングもギリギリを狙って行ったりすると、そこから少し外れただけで、想定外とはいかないまでもドライバーから違和感などのインプレッションが出ます。どの辺が一番パフォーマンスを発揮できるのかという最終の詰めは、トラックで実際にドライバーとともに確認すべき項目なので、そこはちゃんとやらないとレースでは使えません。また、一例ですが、オシレーション(共振)について、ある程度想定内でしたが、思ったより少し大きかったなというのもありました。また、キャリブレーションもまだ詰めが必要でした。キャリブレーションとは、一言でいえばより燃焼を安定させて維持するように調整することです。シフト時などPUは相当な過渡的な動きをするので、そういうところでの燃焼の安定性などを図るチューニングが必要になります」と本橋は説明してくれた。日本GP初日から、ブレンドン・ハートレーは順調に走行を続けたが、ピエール・ガスリーはいくつかのトラブルに見舞われ、満足に走行することはできなかった。しかし、予選では2人は最高のパフォーマンスを発揮し、6番手と7番手というチーム全体としては今季最高の結果を獲得した。鈴鹿サーキットは、単なるパワーサーキットではなく、マシン全体の性能が現れる難しいコースだ。昨年まで、ホンダにとっても地元とはいえ得意なコースとは言えなかった。「昨年までと違うのは、今年になって信頼性が上がって、PU自体の懐が広くなったというのか、使用領域が広くなったというのか、それによりいろいろなトライができたり、セッティングの幅が広がったりという面があるので、そういう意味でもだいぶ向上はしていると思います。とはいえ鈴鹿はやはり難度の高いコースです。長いストレートもあり、S字とかデグナーとか、ほんの少しスロットルを戻すところもあって、それに応じたエネルギーマネージメントやドライバビリティには気を使います。燃費も厳しいコースなので、それも含めて調整し、(ドライバーにとって必要なときに)きちんとトルクを出して上げるというのは特に気を使うところですね。予選については、ロシアで新仕様の効果が確認でき、車体もよくなってきていたので、Q3にはいけるという気持ちはありましたが、コンディションの変化が難しい予選でしたから、ドライバーやチームがいい仕事をしてくれた結果ですし、PUも短い時間でSakuraとMKでテストや調整をやってくれた成果だと思います」と本橋は予選後に語った。迎えた決勝レース。序盤、ポジションを守り、好ペースで走行したガスリーだったが、結果的にタイヤ交換のタイミングが悪く、タイヤ戦略とタイヤの状態がマッチせずにペースを上げられず、惜しくも入賞を逃すこととなった。予選に続き、好結果が期待されたレースは残念な結果に終わったが、シーズン終盤の残り4戦に向け、トロロッソ・ホンダは、チーム一丸となって全力を尽くす。
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