ホンダのF1プロジェクト責任者を務める新井康久は、F1のワークスパートナーであるマクラーレンから巨大なプレッシャーをかけられているとの報道を否定した。 マクラーレン・レーシングディレクターのエリック・ブーリエの言葉からは、次第にいら立ちが垣間見えるようになってきた。大きな期待を寄せられたマクラーレン・ホンダのコラボレーションだが、2015年シーズンの中間地点に来てもいまだ成果を挙げていない。
エリック・ブーリエは「私は1日2回、時差ぼけの時は3回、彼(新井)に『我々はできるだけ早く成功しなければならない』こう言っている」とシルバーストンで述べた。マクラーレンのいら立ちは、両社のプロジェクトに対する捉え方の違いによるものだと考えられている。 マクラーレンはすぐにでも結果を必要としているが、ホンダはコツコツと5年計画で作業に取り組んでいる。 ホンダは、プロジェクトを人材育成の場と考えているため、外部からエンジニアを雇ってプロセスをスピードアップさせるべきというマクラーレンのアドバイスを拒否しているという。だが、新井康久は、マクラーレンとホンダの関係は崩れていないと強調する。 「1980年代に我々は共に大きな成功を収めました。お互いに対する信頼があります」と Globo Esporte にコメント。「もちろん、向上しなければならないというプレッシャーはありますが、我々は腹を割って全てを話し合っています」「我々が1つのソリューションを思いつき、チームが別のものを思いつくということもありますが、この種の関係では普通のことです」しかし、マクラーレン側がグループの持つ広大なリソースの提供を申し出ても、ホンダがそれを活用しようとしないことにマクラーレンはいっそう不信感を募らせているともいわれている。 だが、新井康久は「マクラーレン・アプライド・テクノロジーズとは、プロジェクトが始まった時から協力しています」とコメント。「我々の要請を受けて、彼らがパワーユニットのソフトウエアを開発しました。素晴らしい仕事をしてくれました」 しかし、その提携をさらに拡大することも可能なのではと質問には「技術的問題に関する助けは必要としていません」と新井康久はコメント。「もちろん、良いアドバイスはいつでも歓迎です。でも、プロジェクトのための(別の場所からの)技術的ソリューションは必要ありません」 しかし、ロン・デニスと新井康久の間の緊張は非常に高まっているとされ、ロン・デニスが、新井康久の退任を求めているとも言われている。ところが、新井康久は、どちらかというと“社内(ホンダ)の重役”と“日本のメディア”のプレッシャーの方が大きいと感じているようだ。 「責任者が代わったからといって、リザルトが変わるとは思いません。ホンダの経営陣も、マクラーレンも、私を信頼してくれています」と新井康久は主張。 「どんな責任者でも、どうすればもっと良くなるかを考えるものです。それは、私であっても変わりません。毎日考えています。とてつもなく大きなチャレンジです」ホンダが困難を切り抜けて、実績を上げ始めるのはいつかと質問された新井康久は「間もなくだと、約束します」とコメント。「シーズンの後半には可能でしょう。私はスパ・フランコルシャンからを期待しています」 「ここまでに開発のための良い基礎を築いてきました。これは計画に沿ったものですし、段階的に前へ進みます。目標はクリアしてきました」 「確かにリザルト的にファンの期待に応えられていないことは承知しています。しかし、自分たちの仕事内容は把握しています。どうか時間をください」 「シーズンの後半は良くなりますので、私を信じてください」と新井康久は締めくくった。
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