ルイス・ハミルトン(フェラーリF1)が、F1のレギュレーション策定においてドライバー側にも正式な発言権を与えるべきだと訴えた。しかし、フレデリック・バスールやジェームス・ボウルズらチーム代表陣は、現状でもドライバーの意見は十分に反映されているとの見解を示している。2026年F1シーズンでは、パワーユニット調整や2027年F1レギュレーションの方向性を巡り、FIAや各メーカー、チーム間で議論が続いている。
その中でハミルトンは「ドライバーにも正式な“席”が必要だ」と主張。F1コミッションにおける意思決定構造そのものに問題提起を行った。ハミルトンが求める“正式な発言権”ハミルトンはマイアミGPの週末、4月に行われたF1関係者会合について言及。2026年F1マシンや2027年F1レギュレーションに関する議論が進む一方で、ドライバーは正式な“ステークホルダー”ではないため、投票権を持たない現状に疑問を呈した。ハミルトンは、F1コミッションの中にドライバーの恒久的な代表枠を設けるべきだと訴えている。これは単なる不満ではなく、近年のF1が抱える“競技性とショー性のバランス”にも直結するテーマだ。特に2026年F1パワーユニットでは、エネルギーマネジメントやデプロイメント制御がレース展開を左右しており、実際にマシンを操るドライバー側の感覚を規則へどう反映するかが重要視されている。フレデリック・バスール「ドライバーは除外されていない」一方で、フェラーリF1のチーム代表フレデリック・バスールは、“ドライバー排除論”には否定的な立場を取った。「ドライバーたちはここ数週間のエンジン規則変更の議論にも参加していた。うまく機能していたと思う」とフレデリック・バスールは語った。「もちろん彼らは異なる視点を持っているし、妥協点を見つけるのは簡単ではない。ただ、彼らは議論の一部だ。我々も彼らの意見を聞き、FIAとのレギュレーション協議へフィードバックを持ち込んでいる」「彼らはまったく排除されていない」フレデリック・バスールの考え方は明確だ。ドライバーは“投票者”ではなく、“重要な助言者”として機能しているという立場である。つまり、ドライバー → チーム → FIAという既存の伝達構造によって、現場の意見は十分に反映できているという認識だ。ジェームス・ボウルズ「これ以上増やせば議論が止まる」ウィリアムズF1のチーム代表ジェームス・ボウルズも、より現実的な視点からハミルトン案に慎重姿勢を示した。ジェームス・ボウルズは、GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の役割を例に挙げ、カルロス・サインツがニコラス・トンバジスから直接意見を求められていたことを明かした。「カルロスは実際に相談を受けていた。ニコラス・トンバジスは彼を議論に加え、規則変更前に意見を確認していた」とジェームス・ボウルズは説明した。ただし、正式な投票組織へドライバーを追加することには懸念を示す。「正直、すでにテーブルには人が多すぎる。議論が堂々巡りになってしまうからだ。我々をさらに5人増やしても助けにはならない」さらにジェームス・ボウルズは、“メーカー寄り”の議論になる危険性にも触れた。「重要なのは、特定のパワーユニットメーカーの方向へ偏らないことだ。本当に必要なのは、ドライバー全体の意見を聞く仕組みだと思う」F1が抱える“誰が競技を作るのか”という問題今回の議論は、単なる政治的な対立ではない。2026年F1レギュレーション以降、F1はエネルギーマネジメント重視の方向へ急速に進んでいる。さらに2030年以降にはV8復活論まで浮上しており、FIA・メーカー・チーム・ドライバーそれぞれの思惑が複雑に絡み始めている。ハミルトンが求めているのは、“現場の感覚”をもっと制度側へ直接反映させる仕組みだ。一方でチーム代表側は、現在のF1政治構造ですら意思決定に時間がかかっており、さらに権限主体を増やせばレギュレーション策定そのものが停滞しかねないと警戒している。つまり対立点は、「ドライバーの意見が必要かどうか」ではない。その声を、“どの立場で”“どこまで制度化して”取り込むべきなのか――そこにある。
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