フェラーリF1のルイス・ハミルトンは、F1メキシコGP決勝で科された10秒ペナルティについて「ダブルスタンダード(二重基準)だ」と強い不満を示した。ハミルトンはマックス・フェルスタッペンとのバトル中に発生した接触およびコーナーカットが裁定の対象となったが、「同じことをしても罰を受けないドライバーがいた」と主張している。
フェルスタッペンとの接触でコースオフ、10秒加算で表彰台逃す決勝レース中盤、ハミルトンはフェルスタッペンとターン4で激しく競り合い、ブレーキングでタイヤをロックさせながらコース外の芝生に飛び出した。そのままショートカットして順位を守ったことで、FIAは「コース外走行による不当なアドバンテージ獲得」と判断。10秒タイムペナルティを科した。ペナルティはピットストップ中に消化され、3番手を走っていたハミルトンは14番手まで順位を落とした。その後追い上げを見せたものの、最終的に8位でチェッカーを受け、フェラーリ移籍後初の表彰台はならなかった。「他のドライバーはペナルティなし。意味が分からない」レース後、ハミルトンは報道陣に対して冷静ながらも明確に不満を口にした。「結局のところ、運営側には本当にがっかりしている。完全にダブルスタンダードだと思うし、仕方ないけどね」さらにハミルトンは、他のドライバーと比較しても不公平だと感じている。「周りのドライバーも同じようなことをしていた。意味が分からない。みんなコーナーをカットしてポジションを維持していたのに、誰もペナルティを受けていない。正直、ナンセンスだった」「スタートではいい滑り出しだった。ターン1でP2に入り、1〜3コーナーも問題なく通過した。オフコースしたのはその後だけだ。他の人たちは1周目でコースをショートカットしても何もなかった」また、フェルスタッペンとの再び激しい接触についても「レーシングだった」とし、裁定に首を傾げた。「ただのレースだと思った。僕としては大丈夫だったのに、結局僕だけが10秒ペナルティを受けた。正直クレイジーだよ。しかもストップ・アンド・ゴーのような扱いだった」「あれはエスケープロードだ。安全に戻ろうとしただけ」ターン4でのコースオフについては、「安全を優先した結果だった」と説明した。「ターン4でロックして、出口のランオフに行ったんだ。あそこは地球上で一番ホコリっぽい場所みたいで、全然止まらなかった。だから芝生の上を走って戻ったけど、あれは正規のエスケープロードだった」その後Sky Sports F1のインタビューに応じたハミルトンは、短いコメントで締めくくった。「スタートは楽しかったけど、終わり方は望んでいたものじゃなかった。それもレースだよ」「オフラインは本当に滑りやすくて、できる限り安全に戻すことだけを考えた。まあ少なくともポイントは取れたし、それだけは良かった」裁定基準の不一致が生んだ不満今回のハミルトンの主張の背景には、他のドライバーが似たような状況で処罰を受けなかったという事実がある。1周目のターン1では、シャルル・ルクレールやフェルスタッペンもコースを外れながら順位を維持したが、いずれも審議対象にはならなかった。FIAは「レース開始直後の混乱による不可避な動き」として扱ったが、ハミルトンのケースは「明確なアドバンテージ獲得」と判断された。しかし、オンボード映像を見る限り、ハミルトンはフェルスタッペンとの接触を避けるためにエスケープロードへ進入しており、意図的なショートカットとは言い難い。10秒という重い裁定は、FIAの一貫性に再び疑問を投げかけるものとなった。次戦ブラジルGPでは、同様の状況下でどのような裁定が下されるかが注目される。公平性と透明性の確保が、今後のレース運営の大きな課題となるだろう。