見事ワールドチャンピオンを獲得したルイス・ハミルトン。タイトルは最終コーナーを回ってフィニッシュラインを通過するまでわからなかった。フェリペ・マッサがトップでチェッカーを受けた時点でハミルトンは6位を走行してた。タイトルを獲得するには5位以上でフィニッシュしなければならない。しかし、ラスト数コーナーでドライタイヤのティモ・グロックが失速。ハミルトンはなんとかグロックをパスして5位でフィニッシュ。それは、わずか数十秒の出来事だった。
「言葉で言い表すのは不可能だよ。まだ言葉が出てこない」「家族全員がここにいる、父親もここにいる。本当に長い道のりだったし、多くの人たちのサポートがあった。チームは1年の間ずっと素晴らしい仕事をしたし、あらゆる犠牲を払ってきた。みんなのためにチャンピオンになれて、とてもゾクゾクしている」スタート直前の雨により、ウェットでスタートしたブラジルGP。ドライタイヤに変更してからは、ハミルトンのタイトルは安泰かと思われた。しかし、残り10周でインテルラゴスには再び雨が降り始めた。タイトルのデッドラインの5位を走行していたハミルトンは、最終コーナーでセバスチャン・ベッテルに抜かれ、6位に転落する。そして、チェッカーまで残り数コーナーとなったとき、ドラマは起きた。ドライタイヤを履いていたティモ・グロックが濡れた路面でペースが極端に下がった。「雨が降り始める前は、かなり落ち着いていた。タイヤは少し痛んでいたのでペースを維持するのに苦労していた。でも、彼らより前にいることができたし、それが全てだった」「そのあと、小雨が降り始めて、僕はどんなリスクも冒したくなかった。そして、ベッテルが僕を追い抜いて、彼の前に出なければならないと伝えられた。最終コーナーで僕はなんとかグロックをパスした。本当に素晴らしかった。神に感謝するしかないね」「僕がグロックを抜く直前に、チームから彼を抜かなければならないと言われた。それまでは僕はベッテルを抜こうと最大限に攻めていたんだ。僕の人生の中でも最も大変なレースのひとつだった」チェッカーを受けた時、ハミルトンは本当に優勝できたかわからなかったと語る。「『僕が獲ったの?僕が獲ったのか?』って叫んでいた。そのあと、ターン1でチームが教えてくれて、我を忘れてしまったよ。夢のようだった。」