ハースF1チームは、2026年F1シーズン開幕3戦を終えてコンストラクターズランキング4位という好位置につけている。メルセデス、フェラーリ、マクラーレンに次ぐ順位であり、近年の低迷を考えれば異例とも言えるスタートだ。だが、この結果に対してチーム代表の小松礼雄は冷静だった。評価すべき成果である一方で、現時点の順位に固執すること自体が、チームの成長を妨げる可能性があると見ている。
今回の焦点は3つある。ひとつは「想定外の4位」という現在地、ふたつ目は「順位維持ではない」という方針、そして3つ目は、その背景にある開発競争の現実だ。「4位は想定外」現実主義が示す現在地小松礼雄(ハースF1チーム)は、開幕3戦での結果について率直に驚きを認めている。「もし開幕3戦後にコンストラクターズ4位だと言われていたら、笑っていたと思います」と小松礼雄は語った。18ポイントという結果は理想的なスタートだが、それがシーズンを通じて維持できるかについては別の問題だ。予算制限のもとでも、トップチームの開発力は依然として圧倒的であり、その差は簡単には埋まらない。「守る必要はない」ハースが選んだ優先順位小松礼雄が強調したのは、現在の順位を“守る”という発想そのものへの否定だった。「我々は良い位置にいますが、その順位を守ることが目的ではありません」と小松礼雄は述べた。「重要なのは、自分たちの能力を最大限に引き出すことです。プロセスや予測を見直し、マシン、チーム、ドライバーから最大のパフォーマンスを引き出すことに集中していきます」このスタンスは、短期的な順位よりも、再現性のあるパフォーマンス構築を重視していることを示している。ベアマンが牽引する“結果”とそのリスク今季のハースの好調を支えているのが、オリバー・ベアマンの存在だ。20歳のルーキーは開幕から際立ったパフォーマンスを見せ、チームの18ポイント中17ポイントを獲得。オーストラリアでの7位、中国での5番手スタートなど、上位争いに食い込む力を示している。一方で、日本GPでは高速クラッシュを喫する場面もあった。「彼は大丈夫です。膝の打撲だけで骨折はありません。深刻な状態にならず本当に良かったです。マイアミには万全で戻れると思います」と小松礼雄は説明した。結果を牽引する存在が明確である一方で、その依存度の高さはリスクでもある。開発競争がすべてを決めるシーズン構造2026年F1は、新レギュレーション初年度ということもあり、開発競争の比重が極めて大きいシーズンとなっている。「今年は非常に厳しい開発競争になりますし、小さなチームにとっては大きな挑戦になります」と小松礼雄は語る。つまり、現在の4位という結果は固定されたものではなく、今後のアップデート次第で大きく変動する“暫定的なポジション”にすぎない。ハースが見据えるのは順位ではなく構造小松礼雄の発言から見えてくるのは、順位ではなくチームの構造そのものを強化しようとする意思だ。現状の4位は成果であると同時に、チームのポテンシャルを測るための指標に過ぎない。守るべきものではなく、次の成長に向けた出発点として捉えられている。マイアミGP以降、開発競争が本格化する中で、この“最大化志向”がどこまで機能するかが、ハースの真価を左右することになる。