2026年F1開幕戦オーストラリアGPでポールポジションから完勝を収めたジョージ・ラッセルは、プレシーズンの予想通りメルセデスの競争力を証明した。これまでペースを控えめに見せてきたメルセデスは、アルバート・パークでその実力を明確に示した形となった。フェラーリが決勝で善戦した一方、メルセデス優位への懸念とともに、2026年型マシンに対するドライバーの不満がパドック全体に広がっている。しかし、ランキング首位に立つラッセルは、この見方に同意していない。
2026年F1マシンへの不満は繰り返される構図多くのドライバーが2026年型マシンに不満を示しているが、これは決して新しい現象ではない。2022年のレギュレーションも当初は扱いにくさが批判されていた。その後、2023年にレッドブルとマックス・フェルスタッペンが支配的な強さを見せたことで不満はさらに強まり、2024年と2025年にタイトル争いが活性化して初めて評価が改善されていった。今年のマシンについては「以前よりも劣る」という意見が多く、特にバッテリーのエネルギー回収によるストレートでのパワー低下が主な問題として挙げられている。ランド・ノリスは中国GP週末にこう語っている。「ストレートモードにはいろんな問題がある」「コーナー前でかなり減速するし、バッテリー残量を維持するためにどこでもリフトしなければならない」「残量が多すぎてもダメだ。これまでで最高のクルマから、今はおそらく最悪のクルマになってしまった。本当にひどい」こうした不満はカルロス・サインツJr.やオリバー・ベアマンなど、多くのドライバーにも共有されている。一方で、オーストラリアGPではフェラーリとメルセデスが激しく争い、ラッセルとシャルル・ルクレールが序盤から接近戦を展開するなど、レースとしての見応えも示された。DRS廃止とアクティブエアロの導入により、ドライバーは常にエネルギー回収と放出を繰り返す必要がある。この新しいレーススタイルは違和感がある一方で、オーバーテイクの機会を生む可能性も秘めている。ラッセル「勝っていれば同じことは言わない」こうした批判に対し、ラッセルは明確な立場を示している。ランド・ノリスの発言について問われると、次のように語った。「もし彼が勝っていたら、同じことは言っていないと思う」「去年はクルマが硬すぎてポーパシングもあって、みんな背中を痛めて不満を言っていた」「でもマクラーレンのドライバーはポーパシングはないと言っていた。実際には起きていたのにだ」「結局みんな自分の状況で話している。我々は去年同じエンジンを使っていて、マクラーレンの方がいい仕事をして勝っていた」さらにラッセルは、現在メルセデスのパワーユニットを複数チームが使用している点にも言及した。「今はマクラーレンもウィリアムズもアルピーヌも同じエンジンを使っている」「その中で今のところ我々が一番いい仕事をしている。それがこのスポーツだ」メルセデスは“余力”を残しているのかシーズン開幕後にパフォーマンスを隠す必要はないと考えるのが一般的だが、メルセデスが完全に全力を出し切っていない可能性も指摘されている。その背景にあるのが、2026年のパワーユニット規定に導入されたADUO(追加開発機会)システムだ。性能差に応じてシーズン中の開発機会が配分されるため、優位なメーカーほどアップグレード余地が制限される。つまり、優位性を必要以上に広げないことが戦略的に有利になる可能性がある。フェラーリの競争力を考えれば、メルセデスが余力を残したまま勝てる保証はない。それでも、ライバル陣営の間では「必要になればさらなるパワーを引き出せるのではないか」という見方が根強く残っている。今後、フェラーリやレッドブルが勝利を奪う展開となれば、この見方は否定されることになる。しかし現時点では、メルセデスの真の実力がどこにあるのか、引き続き注目が集まっている。