ルーカス・ディ・グラッシが、2026年フォーミュラE第13戦上海E-Prixで劇的な逆転勝利を挙げ、ローラ・ヤマハABTにとって参戦初優勝をもたらした。17番手スタートから天候変化と戦略を味方につけたディ・グラッシは、終盤のアタックモードを最大限に活用。最終ラップでジャン・エリック・ベルニュを逆転し、自身にとって約4年ぶりの勝利を飾った。一方、選手権首位だったミッチ・エバンスはマシントラブルで決勝をスタートできず、タイトル争いにも大きな変化が生まれた。
雨を読む戦略が勝敗を分けるレースはウエットコンディションでスタートし、セーフティカー先導の数周を経て本格的なバトルが始まった。各チームの戦略は大きく二手に分かれた。序盤にアタックモードを消化するグループと、エネルギーを温存しながら終盤までアタックモードを残すグループである。さらに一部のチームは、雨が止むことを見越してドライ寄りのセットアップやタイヤ内圧を選択。その判断が結果的に的中し、レース終盤で大きなアドバンテージとなった。終盤のアタックモードで大逆転レース前半はポルシェ勢が優勢だった。パスカル・ウェーレインとニコ・ミューラーが先頭を争い、アンドレッティのフェリペ・ドルゴヴィッチ、ジェイク・デニスが続く展開となる。しかし終盤になると、17番手、18番手、19番手からスタートしたジョエル・エリクソン、ジャン・エリック・ベルニュ、ディ・グラッシが優勝争いへ浮上した。残り3周では、チームメイトのゼイン・マロニーがピットストレートでサスペンション破損によりストップし、フルコースイエローが導入される。レース再開時点でディ・グラッシだけがアタックモードを1回残しており、この追加パワーを武器に最終ラップでベルニュをオーバーテイク。劇的な逆転勝利を決めた。この勝利はディ・グラッシにとって約4年ぶり、そしてシーズン限りでの引退を表明しているベテランにとって現役最後となる可能性が高い白星となった。同時に、ローラ・ヤマハABTにとってもフォーミュラE初優勝となった。ランキング首位交代でタイトル争いも激化ベルニュが2位、エリクソンが3位で表彰台を獲得した。4位でフィニッシュしたウェーレインは、マシントラブルにより決勝をスタートできなかったジャガーのミッチ・エバンスを逆転し、ドライバーズランキング首位に浮上した。ジャガーによると、エバンスの欠場は共通部品(スペックパーツ)のトラブルが原因だったという。第13戦終了時点のランキングは、ウェーレインが141ポイントで首位、エバンスが132ポイントで2位。3位には114ポイントのオリバー・ローランド、4位に111ポイントのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ、5位に109ポイントのジェイク・デニス、6位に103ポイントのエドアルド・モルタラが続いている。2026年フォーミュラE 第13戦 上海E-Prix 決勝結果1位 ルーカス・ディ・グラッシ(ローラ・ヤマハABT)2位 ジャン・エリック・ベルニュ(シトロエン) +0.565秒3位 ジョエル・エリクソン(エンビジョン) +2.903秒4位 パスカル・ウェーレイン(ポルシェ) +11.093秒5位 セバスチャン・ブエミ(エンビジョン) +17.373秒6位 フェリペ・ドルゴヴィッチ(アンドレッティ) +19.651秒7位 ニコ・ミューラー(ポルシェ) +22.456秒8位 オリバー・ローランド(日産) +22.539秒9位 テイラー・バーナード(DSペンスキー) +22.690秒10位 ダン・ティクトゥム(キロ) +23.685秒11位 マキシミリアン・ギュンター(DSペンスキー) +24.248秒12位 ペペ・マルティ(キロ) +24.362秒13位 ジェイク・デニス(アンドレッティ) +26.722秒14位 アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ジャガー) +26.934秒15位 ニック・キャシディ(シトロエン) +27.138秒16位 エドアルド・モルタラ(マヒンドラ) +29.960秒17位 ノーマン・ナト(日産) +31.309秒18位 ニック・デ・フリース(マヒンドラ) +52.032秒リタイア ゼイン・マロニー(ローラ・ヤマハABT)DNS ミッチ・エバンス(ジャガー)ディ・グラッシの逆転優勝は、変わりゆく路面状況を見極めた戦略と終盤まで温存したアタックモードが勝因となった。また、ローラ・ヤマハABTに初勝利をもたらしただけでなく、ウェーレインのランキング首位浮上によって2026年フォーミュラEのタイトル争いも一段と激しさを増す結果となった。