ランス・ストロールの父親ローレンス・ストロールが率いるコンソーシアムが、フォース・インディアを買収したことが発表された。チームは救済され、新たなオーナーシップの元で再スタートを切る。フォース・インディアは、メルセデス、セルジオ・ペレス、スポンサーのBWTが債権回収のために訴訟を起こしたことで、F1ハンガリーGPの週末となった7月27日(金)に債務不履行による清算の可能性から保護するために破産管財人の管理下に入れられていた。
8月7日(火)の夕方、フォース・インディアの最高執行責任者(COO)のオトマー・サフナウアーを含めたチームの上級管理職の助けを借りて入札が行われ、管財人であるFRPアドバイザリーによって任命された共同管理者の合意のもと、ローレンス・ストロール率いるコンソーシアムによる買収が承認された。カナダのファッション業界の大物で大富豪のローレンス・ストロールが率いるコンソーシアムには、ビジネスパートナーであるサイラス・チョウ、カナダの企業家アンドレ・デスマレー、モナコ・スポーツ&マネジメントのジョナサン・ダッドマン、ファッション業界のリーダーでマイケル・コースの最高経営責任者であるジョン・アイドル、通信投資家のジョン・マッコウJr.といった大物が名を連ねている。今回の買収により、セルジオ・ペレスを含むフォース・インディアの債権者たちは全額を払い戻され、チームの405名の従業員全員が救済されるとともに、継続的な資金が保証される。独占契約を締結した新たな組織は、ビジェイ・マリヤおよびオレンジ・インディア・ホールディングス有限会社からチームのオーナーシップを引き継いで運営していく。「この結果は、F1におけるフォース・インディア チームの将来を救済し、我々のレースチームがポテンシャルをフルに発揮できることを可能にするものだ」とオトマー・サフナウアーは述べた。「チームとしての我々を信じ、現在、そして将来においてフォース・インディアにF1内でビジネスの大きな可能性があると見なしてくれた投資家たちのサポートを得られたことを嬉しく思う」「フォース・インディアの専門知識とコミットメントは、常に自分たちの能力を上回ってきたことを意味している。この新しい投資は、我々の先に明るい未来をもたらすことを確実にしてくれる」「ビジェイ、サハラ・グループ、モル家のすべてのサポート、ここまで状況が許す限りチームを遂行してくれたことにも感謝したい」しばらくフォース・インディアへの投資が噂されてきたローレンス・ストロールは、チームに新たなオーナーが必要となったことにより、より直接的に関与できる機会を得ることになった。ローレンス・ストロールは、昨年、息子のランス・ストロールがウィリアムズでF1デビューを果たして以来、息子へのサポートを通じてウィリアムズを支援してきた。フォース・インディアの買収には、米国の2つのコンソーシアムと英国の企業を含めた複数の関係者が関心を表明していた。「会社が救済され、支払い能力のある立場へと戻ってくることは稀である」とFRPアドバイザリーの管財人ジェフ・ローリーは述べた。「関心を示していた関係者各位のクオリティは印象的であり、管理が進歩するにつれて慎重な検討が求められた」「堅固なプロセスに従い、最終的には会社を救済し、支払い能力を回復するための信用の高いオファーが残った」「チームを支援するための資金は本日から利用可能となり、当社が今後2~3週間以内と予想する管理下から出ることでより大幅な資金が利用可能になる」入札が承認されたことで、今後、管財人は、チーム買収の契約の確定、メルセデスのエンジンを使用するための契約の新しい会社への移転といった案件など、より細かな詳細を確認していく。フォース・インディアのチャンピオンシップでの戦いで重要な役割を果たすアップグレードパーツを生産するためにはサプライヤーに委託できるようにオーナーシップの変更を完了させる必要あある。現在、フォース・インディアは、コンストラクターズ選手権で4位のルノーから23ポイント差、5位のハースから7ポイント差の6位に位置しており、7位のマクラーレンとも7ポイント差まで迫られている。今回のオーナーシップ変更によって、チーム名を含め、新たなエントリーとみなされるかは現時点では不明となっている。新しいオーナーが賞金を含めたフォース・インディアの全ての権利を取得するには全チームの合意が必要になるが、ルノー、マクラーレン、ウィリアムズの3チームがそれを拒否いたとされている。