クリスチャン・ホーナーのF1復帰を巡る動きが、再びパドックで注目を集めている。昨年レッドブルを離れたホーナーは、現在アルピーヌの株式取得に関与する可能性が報じられており、その動きはメルセデスとトト・ヴォルフとの新たな駆け引きにも発展しつつある。
アルピーヌでは現在、Otro Capitalが保有する24%の株式が市場に出されているとされ、複数の関係者が関心を示している。そのなかでホーナーの名前が浮上したことで、F1界における彼の影響力の大きさが改めて浮き彫りとなった。FIA会長のモハメド・ビン・スライエムは、マイアミGPでホーナーについて質問されると、復帰を歓迎する姿勢を隠さなかった。「私は彼と定期的に話しているし、彼は戻ってくると思う」「クリスチャン・ホーナーの名前をモータースポーツとF1の歴史から消し去ることなど不可能だ」「彼は常に成功していた。ただ、我々も知っているように、成功した人間には敵もいるものだ。私に言わせれば、我々は彼を恋しく思っているし、個人的にも私は彼がいなくて寂しい」さらにビン・スライエムは、ホーナーの存在感そのものがF1に必要だと語った。「彼は我々のスポーツにとって大きな財産だった。そして彼自身も復帰を望んでいる」「ホーナーは非常に活気に満ちた人物だ。我々のスポーツには彼のような存在が必要だ」アルピーヌ株式を巡る“勢力争い”今回の話題は、単なるホーナー復帰論に留まらない。背景には、アルピーヌ株式を巡るF1内部のパワーバランス問題が存在している。報道では、メルセデスとトト・ヴォルフ側も同株式への関心を示しているとされており、FIA側は「複数チームへの影響力」に警戒感を示し始めている。ビン・スライエムは次のように語った。「他者に取得させないためだけにチーム株式を取得したり、レギュレーション投票へ影響力を持つ目的で取得するのでなければ、おそらく問題はないだろう」「だが、そうしたケースでは2チームを所有することは間違っていると思う。これは私個人の見解だ」この発言は、単なる投資ではなく、“政治的影響力”を伴うチーム保有に対する牽制とも受け取れる。2026年F1ではPUレギュレーションや将来のV8議論など、メーカー間の利害が激しく衝突している状況にあり、チーム株式の保有は単なるビジネス以上の意味を持ち始めている。ザク・ブラウンも“ホーナー復帰支持”興味深いのは、マクラーレンCEOのザク・ブラウンまでもがホーナー復帰を歓迎している点だ。ブラウンはこれまで、一つのメーカーが複数チームへ強い影響力を持つことに否定的な立場を取ってきた人物として知られる。それでも今回、ホーナーについては次のように語った。「彼がスポーツに戻ってくるなら素晴らしいことだと思う」「アルピーヌであれ、別の場所であれ、彼がF1に戻ってこないとは思えない」ホーナーは長年にわたりレッドブル黄金期を築き上げた象徴的存在でもあり、パドック内では依然として大きな存在感を持っている。今回のアルピーヌ株式問題は、単なる投資案件というより、“ポスト2026時代”に向けたF1勢力図の再編の一部として見られ始めている。