FIA(国際自動車連盟)はカタールGPの開幕に合わせてF1ドライバーたちと会合を行い、今季におけるレースガイドラインやスチュワード判定の一貫性を巡る問題について協議した。近年、判定の揺れがレースの質に影響しているとの声が強まり、今回の会合はその不満が頂点に達した形だ。ドライバーやチーム、ファンの間では「判定基準の不透明さ」「状況に即していないガイドライン」が指摘されており、週末の序盤からカルロス・サインツJr.が「Sky Sportsのアナリストを判断委員会に加えるべきだ」と苦言を呈するなど、問題意識は広がって...
2022年導入の“運転基準”が逆効果に?2022年に導入された新しいドライビングスタンダードは、本来はスチュワード判定の一貫性向上を目的としていた。しかしドライバー側は、これが「過度に教科書どおりに適用され、実際のレース状況や常識が無視されるケースが増えている」と指摘。フェラーリのシャルル・ルクレールも「今は本当に“本のとおり”で動いていて、状況に応じた常識的判断が難しくなっている」と語った。今季の具体例5件を協議、ピアストリとルクレールの接触も議題に会合では、今季の象徴的な5つの事例についてドライバーがFIAへ説明と見解を求めた。その中には、インテルラゴスで起きたアントネッリ/ピアストリ/ルクレールの多重接触が含まれ、ルクレールがリタイア、ピアストリに10秒ペナルティが科された事例が取り上げられた。ガイドラインどおりの裁定ではあったが、ドライバー側は「実際の状況を反映していない」と異議を唱えた。さらに以下の二つのコーナー進入時の“車両位置”に関する判定も議論対象になった。・ザントフォールトでのカルロス・サインツJr.とリアム・ローソンの接触(後に抗議でペナルティ撤回)・モンツァでのオリバー・ベアマンとサインツの接触(ベアマンがペナルティを受けた)これらの事例は、コーナー進入時の位置関係のみを基準に裁定することで、実際のレーシング状況と乖離した判断が生まれる可能性を示していると指摘された。そして最も議論が白熱したのは、近年F1全体で問題化している「トラックリミット」。特に今年のラ・サーキット(COTA)でのランド・ノリスとルクレールのバトルを例に、オーバーテイクの際にコース外へ出た場合、それを“トラックリミット違反”と扱うべきなのかという根本的問いが提示された。FIAは即時変更を否定、だが“重要な前進”もFIAは今回の協議を「率直で開放的かつ協調的だった」と評価しつつ、ガイドラインの即時変更には踏み切らないと表明した。しかしいくつかの重要ポイントについて前向きな姿勢を示した。・スチュワードが十分なデータや視界を得られない場合、判定をレース後に回す可能性を検討・青旗運用について、特にタイトなコースにおける明確化を進める・オーバーテイク時に求められる“期待行動”の再整理・ラップ遅れ車と周回車の双方が理解しやすいルール作りを目指す一方で、ドライバー側が長年求めている「常設スチュワード制度」については、FIAとGPDA(ドライバー組織)の間で見解が分かれており、今回も合意には至らなかった。判定一貫性の問題は“継続案件”、2025年シーズンの焦点にF1ではここ数年、「判定がレース結果を左右しすぎる」「ドライバーの心理戦を阻害する」といった批判が増加。今季も複数の章典騒動が発生しており、判定基準の改革は2025年後半の重要テーマの一つになっている。今回の協議では、ドライバーからの具体的な不満と改善提案がFIAに正式に共有された形となり、今後のガイドライン改訂につながる可能性が高い。一方で、即時改善が行われるわけではないため、今後のレースでも今回の問題が再発する懸念は残る。F1のレース運営をより公平かつ一貫性のあるものにするための議論は、引き続き求められることになりそうだ。