FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ビン・スライエム会長が、F1のグリッド拡大を支持する姿勢を改めて示し、自身の再選キャンペーンをさらに加速させている。2026年にはキャデラックの参入によりF1グリッドが11チーム・22台体制に拡大するが、この動きにはF1の商業権保有者であるリバティ・メディアと既存10チームの多くから強い反発があった。
一方、ベン・スライエムは当初から11チーム目の追加を支持しており、今ではさらなるグリッド拡大に前向きな姿勢を見せている。現在63歳のベン・スライエムは、FIA会長の座を争うティム・メイヤーの対抗馬としての圧力を受ける中、シルバーストンで再選キャンペーンを開始。ファンに人気の高いV8エンジンの復活にも言及し、「ハイブリッド時代の終焉」をほのめかすなど存在感をアピールしてきた。さらに今回、「グリッドは最大24台まで拡張可能だ」と述べ、将来的な12チーム目の追加にも含みを持たせた。「これまでも議論は行われてきた」とベン・スライエムは記者団に語り、こう続けた。「私は今でも、レース数を増やすよりチーム数を増やすべきだと考えている。もし中国からチーム申請があれば、FOMの立場から言っても『ビジネスとして望ましい』ということで歓迎されるだろう」英紙『The Times』によると、現時点で中国から正式なチーム参入の申請は確認されていないものの、FIAはすでに中国の自動車メーカー数社とF1参戦に向けた協議を行っているという。候補のひとつとして挙がっているのが「ジーリー(Geely)」だ。ジーリーはアストンマーティン・ラゴンダの株式17%を保有しているほか、ルノーとの合弁会社「Horse Powertrain」にも関与しており、内燃機関とハイブリッドエンジンの共同開発に取り組んでいる。またフェラーリのリザーブドライバーである周冠宇はジーリーとの関係が深く、過去に「ジーリーはF1への強い関心を持っている」と明言していた。ベン・スライエムはさらに次のように述べた。「12チーム目を追加するにしても、ただ数を増やすだけでは意味がない。正しいチームでなければならない」「私はスポーツマンとして発言している。スポーツの精神は守りたい。他の関係者は『分け前が11で減る』と主張するだろうし、それも理解できる。ただ、F1の収益は着実に伸び続けている」と語り、グリッド拡張による利益相反を和らげようとする姿勢も見せた。
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