F1競技規則は2022年シーズンに向けて改訂され、セーフティカー出動後にレースをリスタートする方法に大幅な変更が加えられた。2021年の最終戦F1アブダビGPで論争の末に焦点が当てられたこの競技規則は「最後に追い越された車両が先頭車両を追い越したら、セーフティカーは次の周回の終了時点でピットへ戻る」と記されていた。
元FIAレースディレクターのマイケル・マシが、F1アブダビGPで無視したと見なされたのはこの条項だった。彼は追い越しを指示された周回遅れ車両が同じ周回にいるうちにレースを再開した。しかし、2021年のスポーツ規則の第15.3条は、レースディレクターが“セーフティカーを呼び戻しても安全であると判断した時”は『SAFETY CAR IN THIS LAP(セーフティカーはこの周回で入る)』が全競技者に送信され、“セーフティカーがその周回が終了した時点でピットレーンに入ることの競技参加者およびドライバーへの合図となる”と概説されている。これにより、マイケル・マシは競技規則の重大な違反から免除された。FIA(国際自動車連盟)は、F1アブダビGPの出来事に対処するための動きの一環として、2022年のF1競技規則に調整を加えた。2月18日に公開された改訂された競技規則の第55.13条はコースの職員がセーフティカーの存在がまだ必要だと考えない限り、「公式メッセージ送信システムによって『LAPPED CARS MAY NOW OVERTAKE"(周回遅れ車両は追い越し可)』のメッセージがすべての競技参加者に送信されたら、セーフティカーは次の周回の終了時点でピットへ戻る」に変更された。この変更は、セーフティカーが撤退する瞬間を確定することを目的としているように見える。周回遅れ車両がタイムリーにラップを解除し、リスタートのために隊列の最後尾につく責任があることを確認しており、その時点で周回遅れ車両が何をしていたかに関係なく、レースはその宣言がなされたポイントで再開される。レースディレクターがセーフティカーの制御と使用に関する最終的な権限をどのように保持するかに関する規則は変更されていない。FIAのモハメド・ビン・スライエム会長は「セーフティカーの後ろでアンラップする手順はF1競技諮問委員会によって検討されている」と概説しているおり、シーズン開始前にさらに変更が加えられる可能性がある。