2010年のF1レギュレーションは、前年のようにF1マシンに劇的な変化こそ与えないものの、レースを左右するような多くの変更が施される。2009年の大幅なレギュレーション変更は、F1の勢力図に大きな変化をもたらした。続く2010年も、給油禁止やタイヤ幅の変更などマシン開発や戦略に関わるものから、ポイントシステムの変更など再びF1を変化させる要素が数多く盛り込まれている。
2010年F1シーズン開幕にむけて、現時点で発表されている2010年F1レギュレーションの主な変更点をまとめてみる。ポイント制度の変更2010年からグリッドが13チーム・26台に拡大されることもあり、ポイントシステムがこれまでの上位8名から上位10名まで与えられるように変更となる。1位には25ポイント、2位には20ポイント、3位には15ポイントが与えられ、以下10-8-6-5-3-2-1ポイントが与えられる。レース中の給油禁止2010年のF1ではレース中の給油が禁止となる。そのため決勝スタート時にゴールまで走り切るだけの燃料を搭載しなければならない。スタート時の燃料搭載量はおよそ170kgになるとみられ、2009年の2倍以上になる。それにあわせて燃料タンクも1.8倍ほどになり、マシンレイアウトの変更が必要となる。また、給油は禁止されるが2種類のドライタイヤ使用義務は継続されるため、最低1回のピット作業は行われる。予選フォーマット2010年も予選は3つのセッションで行われるが、グリッド数が26台に拡大されることで、予選フォーマットが変更になる。Q1では8台のクルマが脱落し、19〜26番グリッドを決定。続くQ2でも8台がふるい落とされる。Q3ではこれまで通り10台のクルマがトップ10グリッドを争う。予選Q3での燃料レース中の給油が禁止になったことで、Q3もこれまでのQ1、Q2と同様に軽い燃料で走行することが可能になる。これにより、2002年以来となる一発勝負の予選が帰ってくる。フロントタイヤ幅の縮小2010年はフロントタイヤの幅が狭くなる。2009年、F1にスリックタイヤが復活したが、すでに各チームがマシン開発を進めていた関係でタイヤ幅は2008年のグルーブドタイヤのままだった。それにより、2009年のF1マシンはフロントのグリップが強いアンバランスな状態になっていた。2010年はフロントタイヤ幅を狭くすることでそれが改善され、前後のグリップバランスは最適化される。しかし、給油禁止による重量配分、またタイヤ幅の変更は空力にも影響を及ぼすため、新たなマシン設計が必要となる。KERS2010年のレギュレーションでもKERSの使用は許可されているが、FOTAはKERSを自主規制することで同意。KERSの使用は事実上禁止となる。マシン最低重量を620kgに引き上げ2009年のKERS導入により、特に背の高いドライバーは重量面で不利になっていた。それを回避するためにマシンの最低重量が15kg引き上げられ620kgとなる。ただし、上記のようにKERSの使用は事実上禁止となる。タイヤウォーマーは継続2010年もタイヤウォーマーの使用は許可される。しかし、加熱部品はタイヤの表面のみとなる。エンジン制限2010年も1シーズン8基のエンジンルールは継続されるが、1回のレースウィークエンドで追加できるユニットは1基までに制限される。2基の追加エンジンを使用するドライバーは、そのレースと次のレースでグリッド10番降格ペナルティが科せられる。ガレージの広さこれまではコンストラクターズチャンピオンが最も広いガレージを使用していたが、2010年からはどのチームも同じ広さのガレージを使用することになる。空力テスト2010年からは空力テストが8日から6日に縮小される。フルスケールの風洞テストは1日4時間となる。空力テスト1日分をフルスケールの風洞テスト24時間に変更することが可能。代役ドライバーのテスト2010年シーズンからシーズン途中からF1に参戦するドライバーは、事前にF1マシンをテストすることができるようになる。代役ドライバーは代役レース前後に14日間のテストを行うことが可能となる。ただし、テストは過去2シーズンにF1レースに出走したことのないドライバーに限られ、使用するサーキットはチャンピオンシップで使用されないサーキットに限定される。ドライバーの交代を宣言し、代役ドライバーがテストを行ったにも関わらず、結果的に代役ドライバーがレースに出走しなかったチームには、プレシーズンのテストを1日削減するというペナルティが科せられる。
全文を読む